アリババクラウドは3月5日、日本における新たなAIパートナーシッププログラムを発表した。
同プログラムでは、日本国内のパートナー企業と協力し、アリババクラウドの独自基盤モデル「Qwen」を活用したカスタマイズ可能な生成AIソリューションの開発を推進するという。生成AIの持つ変革性を活かし、様々な業界の企業が新たな価値創造を加速できるよう支援していくとしている。
発表にあたり開催された戦略説明会では、アリババクラウド・ジャパンサービスでカントリーマネージャーを務める与謝野正宇氏が登壇。同社は現在、世界各国29リージョンでパブリッククラウドサービスを中心としたサービスを展開しており、特にアジア太平洋地域に積極的な投資を行っている。同地域でのIaaS市場におけるシェアは第1位、世界的に見ても第3位のシェアを誇る。

与謝野氏は、同社が提供するサービスは大きく3つのレイヤーに分けられるとして下図を提示。下段にIaaS領域、中段にAIを含むPaaS領域、上段にSaaS領域を示し、包括的なサービス展開を行っているとした。「あまり知られていないが当社はプライベートクラウドも提供しているため、セキュリティに懸念のあるお客様にも使っていただける」と話す。

なお同社は2月24日、クラウドとAIの基盤整備に7兆8000億円の投資を行うことを発表しており、AIを注力分野の一つに置いている。「アリババクラウドのAIソリューションはIaaS/PaaS/MaaS(Model as a Service)/SaaSの4つのレイヤーで展開されている」として与謝野氏は下図を提示。IaaSサービスの一つとして、LLMなどの大規模モデル構築に最適化された高性能GPUクラスタを低コストで提供する「PAI-Lingjun Intelligent Computing Service」、PaaSサービスの一つとしてAI開発プラットフォーム「PAI」などを紹介した。

MaaSとは、生成AIのモデルをas a Serviceで提供することで電力消費を抑制するコンセプトを指す。
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日本市場における2025年の戦略については、以下3つの指針を提示した。
- 日本のビジネスニーズに応じたQwenモデルの導入・ファインチューニング
- デベロッパー支援のためのAI開発ツールの拡充
- 日本のパートナー企業との連携によるローカライズAIソリューションの提供
上記に加えて、最新モデル「Qwen2.5-Max」や、動画基盤モデル「通義万相(Wan)」の最新バージョンである「Wan2.1」も日本に導入するとのことだ。