Notionは5月13日、同社製品「Notion」に複数のAI機能を盛り込んだ「Notion AI for Work」を発表した。
発表会では、Notion Labs Japan ゼネラルマネージャー 西勝清氏がNotion AI for Workを発表した背景を説明。同氏は「企業で使われている平均アプリ数は89、特に2,000人以上の従業員を抱える企業で使われる平均アプリ数は211に上る」とし、ビジネスにおいて企業が多くのアプリに依存していることを指摘した。
加えて、AIの登場でアプリの分散化が加速しているとし、「元々アプリが散乱しているところに、AIが個別の利用目的で次々と導入されていることでSaaSにおけるデータは散在し、これまで以上に必要な情報を見つけにくくなっている。業務プロセス管理にも課題が残る中、AI活用を支援するための設計されたアプリが必要だと思い、今回の発表に至った」と話す。

また西氏は、生成AIのビジネス活用において「個人利用と企業利用の間に大きなギャップがある」とし、その原因となる以下3つの課題を挙げる。
- 社内ナレッジの課題:AIが自社の情報を知らないことで、社内で有効活用できなかったり、検索に時間がかかったりする
- ビジネスプロセスへの統合の問題:AIを日々の業務プロセスの中にうまく組み込めていない
- AIツール散乱の問題:局所で最適化されたAIツールが急増し、それぞれのツールがつながっていない
このような課題に対応すべく、同社はNotionで行う日々の業務、情報探索、コラボレーションに組み込まれたAI機能「Notion AI」の機能を強化し、「Notion AI for Work」として提供を開始。同機能は、Notion内で行われている日々の業務に関する情報や知識を理解しているため、ユーザーは業務プロセスに組み込まれた形でAIを利用できるという。また、様々な業務で使えるAI機能を一つのワークスペースとして提供できるとしている。
続いて、Notion Labs Japan ソリューションエンジニア 早川和輝氏が登壇し、Notion AI for Workの新たな機能として、以下3つを紹介した。
- エンタープライズサーチ:アプリを横断的に検索できる検索機能を拡大。Slack、Googleドライブ、GitHubなどの様々なツールと連携したことで、Notionの画面上で、様々なアプリを横断して検索した結果を確認できる
- AIミーティングノート:自動で音声文字起こしを行い、それを要約する。議事録を作成し、他者への共有も可能
- リサーチモード:ユーザーの質問に対して、アプリ内とWeb上の情報を検索し、数分で詳細レポートを作成。比較的少し時間をかけて作成することで、密度の高い情報をレポートとしてまとめ、その結果は他者へ共有することも可能

早川氏は、新機能のまとめとして下図を提示。「Notionに情報を入力し、それが蓄積されれば、エンタープライズサーチを使って横断的に検索したり、リサーチモードでより深く詳細に調べたりすることができる。そして、それを共有することで企業のナレッジとして蓄積される。このように、我々が強みとするナレッジ管理やコラボレーションの機能を活かしつつ、一連の業務にAIを組み込める点がNotion AI for Workの大きな特徴だ」とした。

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最後に、西氏が日本における事業戦略について説明。「日本は米国に次ぐ2つ目に大きなマーケットとして同社の成長をけん引している」とし、日本オフィスとしてスタートアップから大企業まで企業向けのサービス体制を強化することに注力する姿勢を示した。主な注力分野は以下の3つ。
- プロフェッショナルサービス:Notionを活用するための総合的なコンサルティングサービスを行う。既に日本オフィスで提供を開始しており、ニーズに合わせて拡大していく予定
- テクニカルサービス:既存ツールからNotionへのデータ移行や、Notion以外のツールとのインテグレーションなど、技術的なサポートを行う
- プレミアムサービス:大規模に利用しているユーザーに対して専任サポート人員を配置し、カスタマーサポートを行う
さらに、日本におけるパートナーシップの強化も視野に入れているという。「販売代理店とのパートナーシップはもちろん、Notionをより多くの方に使っていただくために、販売代理店以外の企業や団体との協業も増やしていきたい」と意気込みを語った。
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