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SAS、新たな企業信用リスク予測モデルを発表 50万件以上のデータ解析で機械学習モデルを構築

 SAS Institute(以下、SAS)は、最新の研究結果に基づき、新たな企業の信用リスクに対する予測モデルを発表した。

 同研究はSASのほか、投資運用会社であるMan Group、英国の保険会社Pension Insurance Corporation、およびスタンフォード大学のクオンツファイナンスの専門家により共同で実施されたという。市場価格や信用格付機関の評価に反映される前に格付変動の可能性を警告する、「早期警戒指標」を提供するとのことだ。

 この機械学習モデルには、SAS Kamakura Risk Information Services(KRIS)が保有する、20年以上にわたるデフォルト率データを含む複数の特徴量が活用されているという。既存のレガシーツールを用いた従来手法と比較して、格付変動(上方修正・下方修正・変化なし)の予測確率に基づき企業を格付けすることで、精度が向上したと述べている。

 このモデルは、格下げまたは格上げの可能性が高い企業をこれまでにない精度で特定可能なため、ポートフォリオ管理の先行的対応や資本配分の最適化を支援します。特に、バランスシート上の証券の信用格付けに敏感な投資家にとって、本モデルが提示する洞察は極めて重要です。例えば、格付変動をより一貫して正確に予測できれば、保険会社にとって、リスク管理やクレジット選択を一段と強化することができます。

現代の信用・市場リスクへの対応

 米連邦準備制度理事会(FRB)が最新の利下げを実施後も、依然として高水準の金利が企業の資金繰りを圧迫し、リファイナンスコストの上昇とともに企業の信用状況が悪化しているという。また、デフォルトリスクも増大しており、金融市場、ヘッジファンド、銀行、保険会社など、社債を保有する幅広い投資家に影響を与えているとのことだ。

 今回発表されたモデルは、証券価格にリスクが完全に反映される前に潜在的な格付変動を特定する早期警戒システムとして活用可能だという。AIと機械学習に加え、上場企業の信用リスクを包括的かつタイムリーに評価するKRISデータを基盤としているとのことだ。KRISには、マクロ経済データ、市場データ、財務データを組み合わせた、多要素信用モデルに基づく年間デフォルト率(KDP)などが含まれるとしている。

 モデルの構築にあたり、チームは2001年から2024年までの20年にわたる信用履歴を含む、50万件以上のデータを解析。データには、社債スプレッド、利回り、デフォルト率、株式モメンタム、マクロ経済変数が含まれるという。

 研究では、KRISデータの価値も実証されたとのことだ。機械学習(勾配ブースティング)モデルにおいて、KDPはオプション調整スプレッド(OAS)と満期利回り(YTM)に次ぐ3番目に重要な指標であることが示されたとしている。つまり、KDPを通じてKRISは、市場価格にまだ反映されていない機会を特定するための追加情報を提供しており、これをもとにポートフォリオマネージャーや投資家が格下げを事前に予測し、市場価格が反映する前に行動できれば、より高いリターンを得るか、リスクを軽減することが可能になると述べている。

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