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約半数の企業が「新リース会計基準」未対応か:ファーストアカウンティング×クラウドサイン連携で迅速化を支援

 ファーストアカウンティングは12月3日、「クラウドサイン」を提供する弁護士ドットコムとパートナー契約を締結し、2027年4月より適用される新リース会計基準への対応を支援する共同ソリューションの提供を発表。12月2日、メディア向けに会見を開催した。

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(左から)ファーストアカウンティング株式会社 代表取締役社長 森啓太郎氏、

弁護士ドットコム株式会社 執行役員 クラウドサイン事業本部長 根垣昂平氏

 ファーストアカウンティング 代表取締役社長の森啓太郎氏は、2027年4月より適用となる新リース会計基準への対応が、企業の財務指標に甚大な影響を及ぼすことを強調。新リース会計基準が適用されると、これまで貸借対照表(B/S)に計上されていなかった多くのリース契約が、使用権資産とリース負債として計上される(オンバランス化)。このオンバランス化は、ROA(総資産利益率)、ROIC(投下資本利益率)、そして自己資本比率といった、機関投資家や格付機関が企業評価に用いる重要KPIを軒並み悪化させるという。

 森氏は、この改正について「社長やCFOは機関投資家や格付機関への説明が求められる。仮にミスがあると信頼性が低下する。非常に大切なKPIだ」と述べ、従来の消費税関連の法改正とは一線を画す、経営トップが関与せざるを得ない問題であることを訴えた。過去の国際会計基準(IFRS 16)適用事例では、大手通信会社でROAが7.5%から5%に、自己資本比率が21%から16%に低下するなど、財務への衝撃の大きさは明白だったと振り返る。

 しかし、新リース会計基準への対応後れが深刻だ。ファーストアカウンティングが日本CFO協会と共同で実施した独自アンケート(2025年11月実施)の結果、多くの企業で対応が遅延している実態を浮き彫りにした。

 調査結果によると、新リース会計基準への対応は約半数(54%)の企業がまだ未対応で、最も重要となる財務影響の試算済みはわずか19%にとどまる。この対応後れの背景には、新基準対応の最難関である「契約書の網羅的な収集と判定」の課題が存在するという。過去の基準適用時、最も多かったミスは契約書が紙で管理されていたために、リース契約の報告が経理部門に遅れたり漏れたりするケースだった。アンケートでも、リース判定対象契約書をすべて電子化済みと回答した企業は15%のみで、85%の企業で紙の契約書が混在する状況だ。森氏はこうした状況を「2027年問題」と訴える。

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 弁護士ドットコム 執行役員 クラウドサイン事業本部長 根垣昂平氏も、このリスクについて「わずか1件の契約書の把握漏れが、企業価値全体の影響を及ぼす大きなリスク要因となり得る」と指摘。紙と電子の契約書が混在した状態での管理では、財務報告の信頼性を失わせる原因になると警鐘を鳴らした。このため、契約書のデジタル化と一元管理は、新基準対応における最優先の課題となる。

 今回発表された両社の連携は、新基準対応のボトルネックである「契約書の収集とリース判定」のプロセスを効率化し、企業の対応を加速させるものだ。クラウドサインは、電子契約だけでなく紙の契約書も一元管理できるプラットフォームとして、リース判定に必要な契約データを網羅的に集約する役割を担う。ファーストアカウンティングは、このクラウドサインに格納された契約データに対し、API連携を通じて独自のAIによる精緻なリース判定と、必要な会計データへの変換を自動で実施するソリューションを提供する。

 この連携ソリューションの導入により、手作業の場合に1契約書あたり約3時間を要していた契約内容の抽出・リース判定業務が30分以内に短縮され、83%の劇的な業務効率化が実現するという。森氏は、この価値を「紙の契約書を見て、固定資産管理システムに手入力するといったアナログ作業がいらなくなる」と説明し、煩雑な手作業とヒューマンエラーのリスクを排除できる点を強調した。根垣氏も、この連携の意義を「正確性と効率化の両立」であると述べる。

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 ファーストアカウンティングは、今後もエコシステム構築を加速させ、2026年3月までにクラウドサインに加え、他の契約書管理システムや固定資産管理システム、ERPシステムとの連携を進め、新リース会計基準対応のエコシステムを完成させる予定とした。

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この記事の著者

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

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