ガートナージャパン(以下、Gartner)は2026年10月13日、多発する日本企業の不正アクセス事案に関する緊急的な提言を発表した。2026年9月以降、日本企業で重大な不正アクセスや個人情報漏洩のインシデントが相次いでいる。これを受けGartnerは、企業が従来のサイバーセキュリティの取り組みを大きく転換させる必要があるとし、今回の事案をその契機と捉えるべきだと指摘した。あわせて、インターネット公開資産の緊急点検など、早急に実施すべきアクションの例を示した。
Gartnerによると、世界各地でも不正アクセスや情報流出の事案が相次いでいる。AI/エージェントの利用により、一連の攻撃プロセスが複数工程にわたって自律化されるという。具体的には、広範囲のスキャンによる攻撃対象および脆弱性の特定、攻撃コードの生成・修正、攻撃の実行といったプロセスである。従来は人間が数日から数週間かけていた作業が、条件によっては数時間、さらには数分で実行される可能性がある。これにより攻撃者の技術力や人的リソースによる制約が引き下げられ、攻撃の速度と規模が飛躍的に拡大する恐れがあるとしている。
2026年は、AnthropicのMythosの発表など、フロンティアAIとサイバーセキュリティの脅威が大きく報じられた。Mythosは一般公開が見送られ、攻撃側と防御側で大きな非対称性が生じる危機は免れた。しかしGartnerは、今後さらに攻撃側がAIを使って力を拡大していくことはほぼ間違いないとみている。一方、防御側では脆弱性管理の基本もできていない組織が多く見られる。このままのペースが続けば、攻撃と防御の非対称性がさらに拡大し、手に負えない状況になると指摘した。
Gartnerが挙げた、早急に実施すべきアクションの例は以下のとおり。
- 取引先などのサードパーティも含め、Webアプリ、API、管理画面、VPN、クラウド、拠点などのインターネット公開資産を緊急点検する
- ソフトウェアの脆弱性に加え、認証認可、API、その他の設定不備も点検する
- VPN、IDS/IPS、WAF、APIゲートウェイ、認証基盤、Webサーバ、従業員向けシステム、クラウド環境などのログや関連情報を横断的に調査する。通常と異なるアクセス、アカウントの作成・権限変更、設定変更、大量のデータ取得など、侵害の兆候がないかを緊急確認する
- 利用する必要がなくなった個人情報が速やかに消去されているか確認する。あわせて、プライバシー原則にのっとった対応となっているかを改めて確認する
- セグメンテーション(隔離)や特権管理などにより、ラテラル・ムーブメント(内部へ侵入した後の水平展開)を抑制する
- 重要情報やシステムを扱う委託先、クラウド事業者、拠点などのサードパーティに対し、以下の点を確認する。影響有無、緊急点検の実施状況、侵害時の連絡体制、インシデント対応プロセス、復旧見通しである
- 点検で見つかった重大なエクスポージャ(露出された弱点)を緊急的に修復する。サービス停止やサービス制限、緊急改修に関する経営判断を迅速に行い、復旧手順、バックアップ、顧客通知体制も再確認する
相次ぐ不正アクセスにより大量の個人情報が流出し、多くの人々に深刻な影響が及んでいる。Gartnerは、経営者には説明責任を果たすことが求められると指摘した。そのうえで、「再発防止の徹底に努める」という言葉だけでは、もはや十分ではないとしている。
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