発表会ではInformation Management事業部長の俵雄一氏が、インターネットやデバイスの進化によってもたされるデータ量の増加が企業活動にも大きな影響をもたらすことを指摘。米IBMがグローバルに行った調査「IBM Global CEO Study 2010」などによっても、「76%のCEOが情報活用を重視」すると回答するなど経営者がデータ活用の重要性を認識していることを提示した。また、リーマンショック後も高い成長率を維持している企業がデータ活用に取り組んでいると解説した。
BIやデータウェアハウス製品の相次ぐ買収などによって注目を集めるデータ活用分野。Information Managementブランドは、企業の情報活用を構成する4つの領域、すなわち情報を収集・蓄積するための「管理」、データ間の整合性を確保するための「統合」、データから知見を引き出すための「分析」、データ活用のプロセス全体を統制するための「ガバナンス」について、それぞれをカバーする製品・ソリューションを届けるという。
今回発表された新施策はいずれもInformation Management製品の提供を推進していくためのものだ。「業界・業種に特化した新組織の設立」では、データベースなどの「管理」から、マスターデータマネジメントに代表される「統合」、BIやストリーム・コンピューティング技術など「分析」に至るまで、企業におけるデータ活用の広範な「ITサプライチェーン」に一貫して対応するために、従来の製品中心のアプローチから顧客の業務に沿った形へと営業体制の再配置を行った。また、パートナーとの協業を強化するための「Information Management事業専任のパートナー営業部」、顧客企業へのInformation Management製品の適切な導入をアドバイスするための「ROI診断サービス」を新設した。
一方、製品という切り口では「Bigdata」「データウェアハウス」「ガバナンス」といったキーワードへの注力を行っていく。大量データ、いわゆるBigdata対策としては、従来型のデータウェアハウスソリューションに加えて、Hadoop技術をベースとした「BigInsight」とストリーム・コンピューティング技術「Infosphere Streams」を加えた3つの製品で対応する。また、データウェアハウス分野では昨年買収したNetezzaのデータウェアハウス・アプライアンスを加えた製品ラインナップで市場に臨む。導入スピードやコストを重視する場合には「IBM Netezza」、トランザクション処理が必要な場合には「IBM Smart Analytics System」、要件に応じたカスタマイズが必要な場合には「IBM Infosphere Warehouse」という棲み分けになる。ガバナンスでは「Infosphere Guardium」を中核とした製品展開を行うとした。
その一環として同日発表されたのが「IBM Infosphere Guardium V8」だ。IBM Infosphere Guardium V8はデータベース・サーバーのセキュリティ強化を目的としたアプライアンス製品。データベース・サーバーに配置したエージェントを介して、外部からのアクセス・ログを全て監視、不正と疑われるアクセスを遮断することでデータベースを通じた情報流出を防止する。監査結果は各種テンプレートに基づいたレポートとして出力するなど、監査プロセスを自動化する機能も備える。「1回の情報漏洩が企業に対してもたらす影響は莫大。特に、情報漏洩の原因の75%がデータベース・サーバーであることを考慮すれば、企業がセキュリティ対策を講じる上でもっとも優先すべきポイント」と俵氏は重要性を強調する。
最新バージョンでは、クレジットカード番号など機密性の高い情報を特権ユーザーが不正利用しないようデータをマスキングする機能を備えたほか、これまでUNIX、Linuxに限られていた不正アクセスの遮断機能の対象範囲をWindows OSにまで拡大し、セキュリティ機能の強化を図った。監査プロセスや監査レポートに関する機能の強化や対応データベースの拡充なども行われている。価格は最小構成で592万5500円からで、年内に100台以上の導入を目指す。
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