ミッドレンジは仮想化やクラウド向けで高成長が続く
2015年のエンタープライズストレージシステムの売上額が前年比で高い伸びになるのは、上半期(1月~6月)を 主体にメインフレーム向けの大型更新案件が金融、官公庁を主体に集中したことと、オープンシステム向けが仮想化環境(サーバー仮想化、デスクトップ仮想化)やクラウド環境(パブリッククラウド向けとプライベートクラウド向け)で高成長を継続しているためだという。
2015年の外付型エンタープライズストレージシステム売上額のクラス別構成比は、ハイエンド(システム価格3,000万円以上)が29.2%、ミッドレンジ(同500万~3,000万円未満)が37.1%、ローエンド(同500万円未満)が 33.7%となる見込み。また、2015年のクラス別の前年比成長率はハイエンドが5.6%増、ミッドレンジが9.0% 増、ローエンドが3.1%増となる見込みだ。
長期的な減少傾向を続けてきたハイエンドが前年比5.6%増という比較的高い成長率が見込まれるのは、メインフレーム向けの大型更新案件が寄与している。一方、ミッドレンジは最も高い成長率となるが、これはミッドレンジの高信頼性と高機能およびコストパフォーマンスの高さが評価されて、仮想化やクラウド環境への導入が進んでいるためだという。
また、ミッドレンジではオールフラッシュアレイやハイブリッドフラッシュアレイなど、フラッシュストレージの比率が上昇しており、これもミッドレンジ市場の伸びを支えている。
2014年~2019年の年間平均成長率は1.7%で、2019年には2,047億円に
IDCでは、国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額の2014年~2019年のCAGRを1.7%と予測、2019年の国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額は2,047億1,000万円に達すると予測している。また、クラス別のCAGRはハイエンドがマイナス3.0%、ミッドレンジが4.0%、ローエンドが2.9%と予測している。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ/IPDS/PCs グループディレクターの森山正秋氏は、「国内エンタープライズストレージシステム市場の今後の5年間で、ストレージサプライヤーに求められることは、ITインフラストラクチャ市場のトランスフォーメーションの大きな流れの中で自社の戦略や製品/ソリューションの価値をチャネルパートナーやクライアントに対して明確に提示し、その選定対象であり続けることである」と分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内エンタープライズストレージシステム市場 2015年上半期までの分析と2015年~2019年の予測アップデート」に詳細が報告されている