レベル2(限定的導入)の企業が45.6%、レベル3(標準基盤化)が28.7%
IDCでは、DXを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用し、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて、価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。
今回の調査では、このようなデジタル技術活用による企業のビジネス変革の可能性について、リーダーシップ変革、オムニエクスペリエンス変革、ワークソース変革、運用モデル変革、情報変革の5つの側面から調査した。
この調査(2015年12月実施)では、従業員1,000人以上のDXを推進する大規模企業に所属している、経営戦略の意思決定を承認する部長職以上にある243人に対してWebアンケートを実施し、これらを総合して国内のDX取り組みに関する成熟度を分析している。
成熟度の評価は、IDC MaturiyScapeに基づいて行った。IDC MaturiyScapeとは、IT環 境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法。特定のIT環境についてまったく導入していない場合をレベル0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、レベル1(個人依存)、レベル2(限定的導入)、レベル3(標準基盤化)、レベル4(定量的管理)、レベル5(継続的革新)までの5段階で評価するもの。
その結果、国内ユーザー企業においては、レベル1の成熟度を持つ企業が17.2%、レベル2が45.6%、レベル3 が28.7%、レベル4が7.2%、レベル5が1.3%であることがわかった。国内ユーザー企業の約半数が、レベル2 (限定的導入)の成熟度にとどまっている。
「CEOによるDXビジョンを明確にしたリーダーシップが求められる」
評価尺度別に詳細に分析すると、5項目すべての側面においてレベル2の企業が最も多いという結果になった。国内ユーザー企業では、運用モデル変革などをはじめとして、デジタル技術を用いた変革を推進しているものの、まだ企業の中での一部分の導入にとどまっており、レベル3(標準基盤化)が相対的に多い米国と比較すると、全社的な取り組みが遅れている傾向を見ることができる。
IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は、「国内ユーザー企業のDX成熟度は低く、多くの企業がレベル2(限定的導入)の段階にある。ユーザー企業には、DXの取り組みを全社的な動きにつなげるために、CEOによるDXビジョンを明確にしたリーダーシップが求められる」と分析している。
今回の発表について詳細は、IDCが発行したレポート「IDC MaturityScape Benchmark :国内デジタルトランスフォーメーション市場」にまとめられている。