2015年~2020年のデータセンターSDN市場は38.5%の高成長を続けると予測
最も先行してきたデータセンターSDN市場では、商用環境や本番環境への導入が進んだ。「第1の収穫期」とも言える2015年は、2014年を上回る成長率で拡大し、市場規模は121億7,900万円に達した。適切な適用先を発見しつつあるデータセンターSDN市場は、導入顧客や規模の拡大、そしてソリューションの進化と共に適用領域が広がり、2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は38.5%と高い成長を続けるとIDCでは予測している。
国内NFV市場も2016年以降、本格的な立ち上がりが見込まれる。国内大手通信事業者のvEPC(virtual Evolved Packet Core)の商用展開が始まっているように、モバイルコアの仮想化がNFV市場の先導役になるとみている。vEPC/vIMS(virtual IP Multimedia Subsystem)に加えて、vE-CPE(virtual Enterprise Customer Premises Equipment)、vRAN(virtual Radio Access Network)、vRouterといったユースケースが国内NFV市場をリードし、2015年~2020年のCAGRは53.9%と予測している。
特に2020年にサービス開始が予定されている5Gサービスを見据えた設備投資が始まる2019年頃に成長が再加速するとIDCではみている。企業ネットワークSDN市場においては、企業ネットワーク領域で高い存在感を有するシスコシステムズやアライドテレシスなどが、企業ネットワークを対象としたSDN関連ソリューションの展開を本格化させたことは市場にとって プラス要因と言える。
企業ネットワークSDN市場の2015年~2020年のCAGRは41.6%と予測
また、企業ネットワークSDNが提供する根源的な価値が、これからの企業ネットワークの方向性に合致している点で潜在的な成長可能性を持っているとIDCではみている。こうしたことから、企業ネットワークSDN市場の2015年~2020年のCAGRは41.6%と予測している。
NTTのNetroSphere構想に代表されるように、通信事業者はこれまで以上に、柔軟で迅速、かつ多様なネットワークを実現できる自由度の高い次世代ネットワークを構想している。こうした次世代ネットワークの実現には、NFVやSDN技術の活用が必須であり、通信事業者ネットワークにおける仮想化の動きは不可避と言える。
IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、「通信事業者向けベンダーはNFV化に積極的に取り組むべきである。汎用プラットフォームでは通信事業者が求める性能や信頼性を担保できないといった、仮想化に取り組まない理由はいったん捨てるべきである。汎用プラットフォームをどれだけ有効に活用できるかが、これからのベンダー間の成否を分けるポイントになる」と述べている。
今回の発表はIDCが発行した「国内SDN、NFV市場予測、2016年~2020年」および「2016年国内SDN/NFV市場動向分析:広域ネットワークへの適用と通信事業者、データセンター事業者への影響」にその詳細が報告されている。