ビッグデータ/アナリティクスの活用による企業の競争力向上への認識が高まる一方で、そのパフォーマンスに対する過剰な言説もあふれており、企業のマネジメント層にはビッグデータ/アナリティクスの成熟度を高めるプロセスを客観的に判断するための指標が求められている。
IDCでは、このような課題に応えるため、国内のビッグデータ/アナリティクス市場の成熟度について、意思統一、データ、技術、人員、プロセスの5つの側面から調査した。この調査(2016年2月実施)では、従業員500人以上のビッグデータ/アナリティクスを推進する大規模企業に所属しており、企業のビッグデータ/アナリティクスの方針決定に影響力を持つ182人に対してWebアンケートを実施し、これらを総合して国内企業のビッグデータ/アナリティクスへの取り組みに関する成熟度を分析している。
成熟度の評価は、IDC MaturityScapeに基づいて行った。IDC MaturityScapeとは、IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法。特定のIT環境についてまったく導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後のユーザー企業の成熟度を、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)までの5段階で評価する。
その結果、国内ユーザー企業においては、ステージ1の成熟度を持つ企業が4.5%、ステージ2が50.0%、ステージ3が32.6%、ステージ4が10.3%、ステージ5が2.6%であることがわかった。国内ユーザー企業の半数が、限定的導入の成熟度にとどまっている一方で、継続的革新の段階に至っている企業は極めて少数だった。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ マーケットアナリストの草地慎太郎氏は、「企業の国際競争が過熱する中でデータ活用の重要性は拡大している。国内事例だけでなく海外の先端事例にも目を向け、積極的な先端技術/人員への投資が企業の競争力を高めるため重要である」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「IDC MaturityScape Benchmark:国内ビッグデータ/アナリティクス市場」にその詳細が報告されている。