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ガートナー、2017年の企業にとって戦略的重要性を持つ「テクノロジ・トレンド・トップ10」を発表

  2016/10/31 17:30

 ガートナーは、10月18日(現地時間)、米フロリダ州オーランドで開催された「Gartner Symposium/ITxpo」において、2017年に企業/組織にとって戦略的な重要性を持つと考えられるテクノロジ・トレンドのトップ10を発表した。

 ガートナーは、テクノロジが出現したての状態を脱し、幅広く利用され、より大きなインパクトをもたらす状態に入り、大きな破壊的可能性を持つようになったトレンドや、今後5年間で重要な転換点に達する、変動性が高く急成長しているトレンドを、「戦略的テクノロジ・トレンド」と呼んでいる。

 ガートナーのリサーチ バイス プレジデント兼ガートナー フェローのデイヴィッド・カーリー氏は次のように述べている。

 「ガートナーの2017年のトップ10のテクノロジ・トレンドは、インテリジェント・デジタル・メッシュの土台となるものです。以下で説明する最初の3つのトレンドは、『どこでもインテリジェンスとなる世界』に区分されます。ここでは、データ・サイエンスのテクノロジとアプローチが、どのように高度な機械学習と人工知能を包含して進化するか、物理システムおよびソフトウェア・ベースのシステムをいかにインテリジェントなもの、すなわち学習して環境や変化に適応するようにプログラミングされているものとして構築できるか、といったことに焦点が当てられています」

 「その次に示す3つのトレンドは『デジタル・メッシュ』に区分されます。ここでは、デジタルの世界に着目し、物理的な世界とデジタルの世界がどのようにしてより絡み合っていくのかという点に焦点が当てられています。最後の4つのトレンドは『デジタル・プラットフォーム革命』に区分されます。ここでは、インテリジェント・デジタル・メッシュの提供に必要なプラットフォームとサービスのメッシュに焦点が当てられています」

 2017年に注目すべき戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10は次のとおり。

 ・高度な機械学習とAI

 人工知能(AI)と高度な機械学習(ML)は、多くのテクノロジおよびテクニックで構成されている(深層学習、ニューラル・ネットワーク、自然言語処理 [NLP] など)。この領域では、理解、学習、予測、適応といった新しい能力、さらには自律的なオペレーションの可能性を有する、従来のルール・ベースのアルゴリズムを超えたテクノロジが登場しつつある。

 カーリー氏は、次のように述べている。「応用AIおよび高度な機械学習は、さまざまなインテリジェントな実装を生じさせます。これには物理的デバイス(ロボット、自律走行車、家電)およびアプリとサービス(仮想パーソナル・アシスタント [VPA]、スマート・アドバイザー)が含まれます。これらの実装は、新しいクラスのインテリジェントなアプリおよびモノとして提供されるとともに、幅広い範囲のメッシュ・デバイスおよび既存のソフトウェアとサービス・ソリューションに、埋め込みインテリジェンスを提供します」

 ・インテリジェントなアプリ

 VPAなどのインテリジェントなアプリは、人間のアシスタントが行う仕事のいくつかを実行し、日々の作業を楽にする(例えば電子メールの優先付け)とともに、最も重要なコンテンツおよびやりとりを強調することによってユーザーの効率を高める役割を果たす。

 仮想顧客アシスタント(VCA)のような他のインテリジェントなアプリは、セールスや顧客サービスといった分野の作業などに、より特化している。このようなことから、これらのインテリジェントなアプリは、仕事の本質とワークプレースの構造を変革する可能性を持っている。

 カーリー氏は、次のように述べている。「今後10年間において、事実上すべてのアプリ、アプリケーションおよびサービスは、一定のレベルのAIを取り込むでしょう。これによって、アプリおよびサービスに向けてAIと機械学習のアプリケーションを継続的に進化させ拡張させていく長期的なトレンドが形成されるでしょう」

 ・インテリジェントなモノ

 インテリジェントなモノとは、融通の利かないプログラミング・モデルによる実行の先を行き、応用AIおよび機械学習を発展させて、高度な振る舞いをするとともに、周囲の環境および人とより自然にやりとりする物理的なモノを指す。

 例えば、ドローンや自律走行車、スマート・アプライアンスといったインテリジェントなモノが私たちの周囲に普及するのに伴い、インテリジェントなモノはスタンドアロン・モデルからコラボレーティブ・モデルへシフトするとガートナーは予測している。

 ・仮想現実と拡張現実

 仮想現実(VR)および拡張現実(AR)などのイマーシブ(没入型)テクノロジは、個人間および個人とソフトウェア・システムとのやりとりの方法を変革する。カーリー氏は、次のように述べています。

 「イマーシブなテクノロジにより、消費者およびビジネス・コンテンツとアプリケーションの環境は、2021年までに劇的に進化するでしょう。VRとARの能力は、デジタル・メッシュと融合し、ハイパーパーソナライズされた適切なアプリおよびサービスとしてユーザーに提供される情報の流れを調整することができる、よりシームレスなデバイス・システムを形成します」

 「複数のモバイル、ウェアラブル・デバイス、モノのインターネット(IoT)、多くのセンサが存在する環境を横断した統合によって、イマーシブ・アプリケーションは、個人の、あるいは単独のエクスペリエンスの先へと広がるでしょう。部屋や空間はモノによって活性化され、メッシュを通じた接続はイマーシブな仮想世界と連動して現れ、機能するでしょう」

 ・デジタル・ツイン

 デジタル・ツインは、センサ・データを使って状態の把握、変化への対応、運用の改善、付加価値の提供を行う物理的なモノやシステムの動的なソフトウェア・モデルだ。デジタル・ツインには、メタデータ(分類、構成、構造など)、状況または状態(位置および温度など)、イベント・データ(時系列など)、アナリティクス(アルゴリズムおよびルールなど)の組み合わせが含まれる。

 3~5年以内に、数億個のモノがデジタル・ツインによって表されるようになるだろう。企業/組織は、デジタル・ツインを使用して、設備サービスの計画や事前の修理、製造工程の計画、工場の運営、設備の障害予測や運用効率の向上、強化製品の開発を行うようになるだろう。このようにして、最終的にデジタル・ツインは、能力のある個人と従来の監視デバイスやコントローラ(圧力計、圧力バルブなど)の組み合わせに取って代わる存在になるだろう。

 ・ブロックチェーンと分散型台帳

 ブロックチェーンは、(Bitcoinや他のトークンによる)価値交換取引が連続的にブロックへとグループ化された分散型台帳の一種。各ブロックは前のブロックに連鎖され、ピア・ツー・ピア・ネットワークを横断して記録される。このとき、暗号化による信頼および保証のメカニズムが使用される。

 ブロックチェーンと分散型台帳のコンセプトは、業界における運用モデルの変革に有望であることから、大きな支持を得つつある。現在のハイプ(誇大な宣伝)は金融サービス業の周辺で発生しているが、他にも楽曲配信やID検証、タイトル登録、サプライチェーンなど多くのアプリケーションが考えられる。

 カーリー氏は、次のように述べている。「分散型台帳は変革の可能性を有していますが、ほとんどのイニシアティブはいまだアルファまたはベータのテスト段階にあります」

 ・会話型システム

 会話型インタフェースで現在焦点が当てられているものは、チャットボットおよびマイク対応デバイス(スピーカ、スマートフォン、タブレット端末、PC、自動車など)。ただし、デジタル・メッシュは、アプリケーションおよび情報へのアクセスや、他のユーザー、ソーシャル・コミュニティ、行政、企業とのコミュニケーションを行う際にユーザーが使用する、拡大しつつある一連のエンドポイントを包含している。

 デバイス・メッシュは、従来のデスクトップ・コンピュータおよびモバイル・デバイスの先へ進み、ユーザーがやりとりを行う可能性があるあらゆる範囲のエンドポイントを包含する。デバイス・メッシュが進化するのに伴い、接続モデルは拡張するとともに、デバイス間のより大規模な協調的なやりとりが出現し、継続的でアンビエント(環境に溶け込んだ)な新しいデジタル・エクスペリエンスの基礎が築かれるだろう。

 ・メッシュのアプリ&サービス・アーキテクチャ

 メッシュのアプリ&サービス・アーキテクチャ(MASA)では、モバイル・アプリ、デスクトップ・アプリ、IoTアプリがバックエンド・サービスの幅広いメッシュにリンクして、「アプリケーション」としてユーザーに見えるモノを形成する。

 このアーキテクチャはサービスをカプセル化し、複数のレベルで組織の境界を横断してAPIを提示し、サービスの俊敏性および拡張性に対する需要と、サービスの構成および再利用とのバランスを取る。

 MASAによって、ユーザーは、デジタル・メッシュでターゲットとするエンドポイント(デスクトップ、スマートフォン、自動車など)に対して最適化されたソリューションのほか、これらの異なるチャネルを横断する中で継続的なエクスペリエンスを手にすることができる。

 ・デジタル・テクノロジ・プラットフォーム

 デジタル・テクノロジ・プラットフォームは、デジタル・ビジネスの基本的な構成要素を提供するとともに、デジタル・ビジネスの不可欠なイネーブラでもある。ガートナーは、デジタル・ビジネスの新しい能力およびビジネスモデルを実現する5つの主要な重点ポイントを明らかにした。情報システム、カスタマー・エクスペリエンス、アナリティクスとインテリジェンス、IoT、ビジネス・エコシステムの5つだ。

 これら5つのデジタル・テクノロジ・プラットフォームのいくつかが、すべての企業/組織に混在することになるだろう。これらのプラットフォームは、デジタル・ビジネスの基本的な構成要素を提供するとともに、デジタル・ビジネスの不可欠なイネーブラでもある。

 ・アダプティブ・セキュリティ・アーキテクチャ

 インテリジェント・デジタル・メッシュおよび関連するデジタル・テクノロジ・プラットフォームとアプリケーション・アーキテクチャによって、かつてないほど複雑なセキュリティの世界が形作られる。

 カーリー氏は、次のように述べている。「確立されているセキュリティ・テクノロジを、IoTプラットフォームのセキュリティを確保するベースラインとして使用すべきです。ユーザーおよびエンティティの挙動を監視することは、IoTのシナリオで特に必要となる重要な追加事項です」

 「ただし、多くのITセキュリティのプロフェッショナルにとってIoTのエッジは新しいフロンティアで、新たな脆弱性をもたらす部分であり、しばしば新しい対策ツールとプロセスを必要とします。これらをIoTプラットフォームの実装時に考慮しなければなりません」

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著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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