2017年はハードウェア分野の復調によりプラス成長を予測
2017年の国内IT市場は、ハードウェア市場が回復することから各地域でプラス成長を予測している。特に東京都(2017年前年比成長率:2.9%)、東海地方(同:2.3%)、近畿地方(同:2.5%)において比較的高い成長率を予測している。その他の地域でも、関東地方(東京都を除く)(同:1.9%)、九州/沖縄地方(同:1.2%)、北陸/甲信越地方(同:1.0%)においては1%以上のプラス成長を予測している。一方、北海道/東北地方(同:0.6%)、中国/四国地方(同:0.9%)では、プラス成長ながら小幅の成長率に留まるとみている。
2018年以降、大都市圏(東京都、関東地方(東京都を除く)、東海地方、近畿地方)においてIT支出はプラス成長を維持すると予測している。特に東京都では、2020年の東京オリンピック/パラリンピックの開催に伴い、積極的なIT支出を見込んでいる。また、近畿地方、東海地方、関東地方(東京都を除く)では、大手製造業、およびこれらの大企業と取り引きを行う部品製造業において、既存システム刷新に加えて、IoT(Internet of Things)の活用の取り組みが本格化することからIT支出は堅調な拡大を予測している。
その一方で、大都市圏以外の地域(北海道/東北地方、北陸/甲信越地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方)では、人口減少の影響もあり、地域経済の停滞は長期化するとみており、多くの企業、地方自治体で最低限のIT支出に留まるとみている。したがって、大都市圏以外の地域のIT支出は、2019年を除いてマイナス成長に留まるとみている。ただし、福岡県など堅調なIT支出が見込める地域もある。
ITサプライヤーは既存の販売チャネル網/サポート体制の見直しを求められる
国内IT市場は、大都市圏では堅調なIT支出が継続する一方で、それ以外の地域では低い成長率が継続するとみている。ITサプライヤーにおいて、大都市圏以外の地域におけるIT市場の当面の成長性が相対的に乏しい中で、いかにして自社のビジネスを展開するかが大きな課題となる。
加えて、もう1つ大きな課題として、人材不足の深刻化も挙げられる。このような中で、ITサプライヤーが既存の販売チャネル網/サポート体制を維持することは、徐々に困難になるとみている。IDC Japan ITスペンディンググループ リサーチマネージャーの市村仁氏は「ITサプライヤーは、販売チャネル、サポート体制を見直し、第3のプラットフォームの活用などより効率的な施策を検討することが求められる」と分析している。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内IT市場 地域別予測,2017~2021年」にその詳細が報告されている。レポートでは、国内IT市場を8地域(北海道/東北地方、東京都、関東地方、北陸/甲信越地方、東海地方、近畿地方、中国/四国地方、九州/沖縄地方)に分け、2017年~2021年の予測、IT支出動向を左右する主要なトピックなどについて、地域別に分析している。さらに都道府県別IT支出規模、および本調査レポートから年商規模別/地域別IT支出規模データの提供を開始している。また、「2017年 国内IT市場 地域別動向分析:2016年第4四半期の実績に基づく」では、さらに各地方の動向について詳細に分析している。