働き方改革の推進者は経営者が42.4%、人事部長24.5%、経営企画20.3%
働き方改革の推進者は、経営者が42.4%と高く、人事部長(24.5%)と経営企画(20.3%)が続いている。IDCでは働き方改革を3つの段階で捉えているが、今回の調査では多くの企業が初期の「管理の強化」段階にいて、「就業規則や制度の見直し」「勤怠管理の強化」で長時間労働の抑止に取り組んでいることが分かった。
また5%以上の業績増加企業では、働き方改革予算をIT導入にも適用する予定があり、IT活用の重要性や効果に対する認識がその他に比較して高い傾向を示した。先進的な企業の取り組みは、第二段階である「効率性と生産性向上」の段階で、ITを活用したコミュニケーションの活性化に取り組んでいる。
働き方改革に関連して、人事管理とコラボレーションなど22種類のIT利用について調査した結果、ビジネスチャットと社内SNS、スマートフォン向けビジネスアプリ、タレントマネジメント導入に高い関心があった。また、生産性向上のために自動化したい業務には「勤怠管理」と「経費と交通費精算」が挙げられた。
IT導入においては「自社業務への適合性の高さ」と「操作性の良さ」が重視され、課題には「効果の試算」「適用すべきIT技術/システムの選択」「適正コストの試算」が選ばれた。働き方改革を支援する広範囲な業務の全体最適化には、コラボレーションと情報分析など広範囲な機能を、段階的に導入できるサービスメニュー化が必要であるとIDCではみている。
先進的な企業はコミュニケーションの活性化で効率性と生産性向上を目指ざす
主要ベンダー(SAP、オラクル、富士通、マイクロソフト、ワークスアプリケーションズ)における働き方改革は、先ITツールによる社員のコミュニケーションを活発化し、そこから得た情報の集約と分析力をベースに情報活用を行っている。先進的で柔軟なワークスタイルと、機械学習なども取り入れた多様なIT活用が、従業員個々の自発的な取り組み支援となり、事業にさまざまな効果を生み出している。その成果の多くが対応ノウハウと共に、それぞれ特徴のある顧客サービスの機能に反映されている。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのシニアマーケットアナリストである、もたい洋子氏は「国内企業の働き方改革は、多くの企業が労務管理の強化段階にあるが、先進的な企業では社員間のシナジーを生むコミュニケーションの高度化で生産性を向上し、継続的な事業拡大を担う人材活用に向けて動き出している。国内企業は人事領域におけるICT活用で、これまで培ってきた組織対応の強さに加え、個々の従業員の個性や専門性を事業に生かすべきである。ICTを働き方改革に活用することで、取り組みの可視化、効果測定、新規プロジェクトへの最適な人材配置の実現を早期化する。今後の働き方改革の成熟度に合わせ、コグニティブ/AIシステムを軸にした国内のHR Techが活性化する」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「2017年 国内企業の人材戦略と人事給与ソフトウェア市場 動向調査:業務の自動化など働き方改革の取り組みが始動」にその詳細が掲載されている。