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ガートナーが「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年」を発表

日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2017年(出典:ガートナー、2017年9月)

 ガートナーのハイプ・サイクルは、市場に新しく登場したテクノロジがまず過熱気味にもてはやされ、熱狂が冷める時期を経てから、市場が確立し、市場分野における意義や役割が理解されるようになるまでの典型的な経過を、横軸に「時間の経過」、縦軸に「市場からの期待度」を表す波形曲線で示したもの。

 新規テクノロジは市場に受け入れられるまで、総じて同じ経過をたどるという考えの下、5つの段階(黎明期、「過度な期待」のピーク期、幻滅期、啓蒙活動期、生産性の安定期)で市場の成熟の過程を示し、各キーワードはそれぞれの成熟度に従い、ハイプ・サイクル上にマッピングされる。

 ハイプ・サイクルは、企業があるテクノロジを採択するか否かを判断する際の参考指標として開発された。たとえば、企業はハイプ(過剰な期待感)が起こっているというだけの理由でそのテクノロジに投資すべきではなく、初期の過剰な期待にかなっていないというだけの理由でそのテクノロジを無視すべきでもない。

 あえて初期ユーザーとなり先行者利得を目指すケースもあれば、逆に市場で安定した評価が確立するまで待ってから採択するケースもある。いずれにせよ、自社に利益をもたらす可能性のあるテクノロジを見極めた上で、最適な投資タイミングを判断する必要がある。こうしたITリーダーの意思決定にハイプ・サイクルは役立つという。

 ガートナーは、かねてデジタル・テクノロジがビジネスにもたらす破壊的な変化の到来を予見し、2012年には、核となるトレンドとして「モバイル」「ソーシャル」「クラウド」「インフォメーション (アナリティクス)」の4つを取り上げ、これらのテクノロジを緊密かつ複合的に連携させることがデジタル・ビジネスの推進力になる、と提言してきた。

 ガートナーが「Nexus of Forces(Nexus)」と命名したこの不可逆的なトレンドは、その後の日本においても企業のビジネスに確実に浸透し、一部では市場の競争ルールとプレーヤーを根本から変える影響をも及ぼし始めている。

 2017年現在、状況は言わば「Post Nexus」の時期へと移行し、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、ブロックチェーンといったさらに新しいトレンドが注目を集め、概念実証(POC)に積極的に取り組む企業も増加している。同時に、企業のITシステムがよりオープンになり、かつ社外のリソースとつながることで、「デジタル・プラットフォーム」というコンセプトが開花している。

 ガートナー ジャパンのリサーチ&アドバイザリ部門マネージング バイス プレジデント、山野井聡氏は次のように述べている。

 「2017年現在、デジタル・ビジネス・プラットフォームはいまだ新しいコンセプトとして位置付けられ、これから期待が高まるタイミングにあります。人工知能やブロックチェーンは、まさに『過度な期待』のピークに差し掛かっており、これから幻滅期へと向かう下り坂が見えてきました。モノのインターネット(IoT)は既にその坂を下りつつあり、企業の取り組み姿勢は一時的に慎重になることも予想されます。他方、前述のNexusの4つの要素はいずれも幻滅期を脱しつつあり、今後確実な普及が見込める位置にまで達しています。このように『デジタル』を旗印とするさまざまな動きが活発化する一方で、顕在化した問題もあります。1つはセキュリティの問題であり、特に、オープン環境におけるサイバーセキュリティの強化は、ITリーダーに火急の対応を迫っています」

 「また、既存のレガシー・システムの最適化も、久しくITリーダーを悩ませている課題であると言えます。確かに、デジタル・テクノロジは企業のビジネスを大きく飛躍させる可能性に満ちています。しかし、それを実現するには、堅牢なセキュリティや最適なレガシー・システム・アーキテクチャが『バックボーン』として存在することが前提になります。今後は、攻守両面のIT戦略を並行して推進できるITリーダーが、真のビジネス・リーダーとなるでしょう」

 ガートナーでは、CIOをはじめとするITリーダーが一堂に会する世界で最も重要なイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2017」において、先進のトレンドに関するさらなる分析のプレゼンテーションが行うという。このイベントは日本では、10月31日(火)~11月2日(木)に東京のグランドプリンスホテル新高輪で開催される。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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