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目指せ黒帯!Oracle Database バックアップ&リカバリ道場

復旧目標に合わせてバックアップ戦略を考える


 障害時のサービス再開を短くする方法はデータベースのレプリカを持つことです。しかし、コストとの兼ね合いで持てないケースもあるかと思います。今回のテーマはそうしたケースで検討の価値ある「永久増分バックアップ戦略」についてです。データベースのバックアップを使ってできるだけ短い時間でデータベースを復旧するための工夫や機能についてお伝えしていきます。

リストア時間はバックアップ取得時間とトレードオフ

 Oracle DatabaseのバックアップをRecovery Manager(以降RMAN)を使って取得する場合の基本的な運用方法は2つあります。「日次フルバックアップ」もしくは「週次フルバックアップ+日次増分バックアップ」です。この2つの運用について、

 A) バックアップ時間
 B) データベース全体のリストア時間
 C) バックアップデータに必要なディスク容量

 の3点で比較します。比較の結果は表1の通りです。

比較表
表1:比較表

 まず、「日次フルバックアップ」で運用する場合を考えてみます。毎日データベース全体のバックアップを取得しますので、日々のバックアップ取得に要する時間は長くなりますし、バックアップデータのために必要なディスク容量も保持期間に応じて多く必要になります。一方でデータベース全体のリストアに要する時間を考えると、直前に取得したフルバックアップを戻したあとREDOログを使ってリカバリすれば復旧ができます(図1)。

日次フルバックアップ運用時のリストア・リカバリ
図1:日次フルバックアップ運用時のリストア・リカバリ

 次に、週次フルバックアップ+日次増分バックアップで運用する場合です。毎日フルバックアップを取得する場合と比べて変更箇所のみをバックアップしますので、バックアップ取得時間は短くなりますし、バックアップデータのために必要なディスク容量も少なく済みます。一方でデータベース全体のリストアに要する時間は、直近のフルバックアップと、それ以降に取得した複数の増分バックアップをリストアしてからREDOログを使ってリカバリをすることになるため、日次でフルバックアップを取得する運用と比べて長くなります(図2)。

週次フル+日次増分バックアップ運用時のリストア・リカバリ
図2:週次フル+日次増分バックアップ運用時のリストア・リカバリ

 このように基本的な運用方法だと「日々のバックアップ時間の悩み」と「いざというときのリストア・リカバリ時間の悩み」を一気に解決できないことが分かります。これらを解決できるのが今回のテーマである「永久増分バックアップ戦略」です。「永久増分バックアップ戦略」というのはその名の通り、戦略、つまり考え方のことで、実現するためには次の2つのいずれかの製品・機能を利用します。

  1. RMANの増分更新バックアップ
  2. Zero Data Loss Recovery Appliance

次のページ
RMANの増分更新バックアップによる永久増分バックアップ戦略

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この記事の著者

佐々木亨(ササキトオル)

日本オラクル株式会社 日本オラクル入社から一貫してOracle Databaseの持つ高可用性分野のスペシャリストとして活動。Mission Critical Certified CenterやOracle GRID Centerといったパートナー企業との共同検証の経験を通じて今の土台を築き、現在は...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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