さて次の話題ですが、USBメモリに関するお話をしたいと思います。
USBメモリは32GB辺りが売れ筋のようですが、最近ではなんと2TBのUSBメモリがあるようです(・・・びっくりしたのは容量ではなく20万円超と言う値段の方です)。このUSBメモリもSSDと同じくNAND型フラッシュメモリを採用しており、基本的な技術はSSDとほぼ同じ仕組みを採用しています。ただ実際に使用してみると、SSDと比べUSBメモリ、さらにSDメモリの方が早くエラーになる率が高くチップの劣化が早いような気がしました。調べてみますとUSBメモリやSDメモリは、SSDでは標準的に行っているウェアレベリングやエラー訂正等の仕組みを省いている製品も多いようで、結果的に劣化や消耗が早くなるようです。
ここからは私が実際に経験したお話です。私も長くIT業界にいますので友人達からパソコンの専門家的に見られており(別にパソコンを売ってる仕事ではないのですが)、ある日友人から、USBメモリが読めなくなったので見てほしいとメールがありました。家まで行って調べてみるとUSBメモリ自体の認識はしても中のファイルがエラーで読めません。容量もファイルシステムもちゃんと認識していたので、128MBと容量が小さかったこともあり、とりあえずブロックの状態を調べてみたところ、案の定かなりの率で論理エラー、物理エラーが発生していました。聞くところによると5年以上使っており空き容量はほぼなし。たまに認識エラーは出ていたが何度か抜き差しすれば使えていたので交換はしなかったとのことです。
PC上にバックアップコピーはなく、USBメモリ内にあるファイルを直接ダブルクリックして起動(最新ファイルをUSBメモリにコピーするのが面倒だったらしい)。データはPCのドライブに保存しUSBメモリはデータの仲介用、という使い方ならPCにデータが残っていて助かったわけなので、このような使い方をしている皆様はご注意ください。
友人のUSBメモリには、町内業務や趣味で指導している少年野球関連のデータが入っていて何とかしたいと言うのですが、ブロックの物理エラーが出ている以上リカバリツール等を使用しても復旧できる確信がなく、自分が下手に手を出して大事なデータをご臨終にしたくないので、想定される原因を話してこの手の復旧サービスをしているデータレスキュー業者をいくつか調べて紹介しておきました。実はHDD障害ならなんとかしてあげたと思うのですが、USBメモリはブロックが電気的に壊れていたり、セルの寿命であればどうしようもないので、手を出さなかった次第です。
参考までに、以下の資料は私が1年程度使用していたSDメモリのチェック結果で、趣味のラジコン機に搭載したカメラの空撮データ(AVI形式)を何度も記録していたデータ用32GBのSDメモリです。最初は問題なく使えていましたが、そのうちに記録したデータをPCにコピーしてもエラーで読めなくなったのでメモリチェックをしたところ、多数のブロックが論理データエラーになっていました。製品やメーカーによるのでしょうが、SDメモリは大容量ファイルを何十回も書き込んだり、負荷が高い処理や長期保存用には向いていないメディアなのかなと認識しています。
USBメモリやSDメモリはお手軽で使いやすいのですが、このようにデバイスやデータ障害時の復旧が難しいのと、ちょっとしたことで壊れる場合があるので、取り扱いには注意が必要です。少なくとも、バックアップメディアとしては考え物です。特に最近のUSBメモリは大容量なため読めなくなった時のダメージは計り知れず、重要なデータは他メディアへバックアップする、頻繁に同じUSBメモリを使っている場合は消耗品と割り切って読めなくなる前に定期的なチェックや新品への交換をする、などの対応が必要かと思います。
余談ですがUSBメモリは、製品によって出荷時にFAT32でフォーマットされている場合があり、ここに落とし穴があります。FAT32は、扱えるファイルの最大サイズが4GBなので、例えばISOイメージやOVFファイルで4GBを超えるものはメモリ内にコピーできないのです。
私もこのトラップにはまったことがあります。客先の検証環境へ4GB超のOSイメージのOVFファイルをアップしようとした際のことです。ノートPCで持参したOVFファイルの受け渡しをUSBメモリ経由で行おうとして、メモリへのコピーができませんでした。exFATでフォーマットしようにもそのUSBメモリには他の重要なファイルも入っていてできず、と身動き取れなくなりました。USBメモリを購入した際には、まずはファイルシステムを確認して、exFATで論理フォーマットしておくことをお勧めしたいと思います。
それでは、また次回に乞うご期待。