建設現場のDX「LANDLOG」がAzureを採用
マイクロソフトの平野社長は同社のミッションは、「働き方改革」と「インダストリーのイノベーション」だと語り、後者については製造、金融、流通など様々な企業との連携を推進すると述べた。その代表例として、建設業界のIoTプラットフォーム「LANDLOG」にMicrosoft Azureが採用されたことを発表した。
LANDLOGはコマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムが共同で立ち上げた建設の生産性向上のためのオープンプラットフォーム。コマツのスマートコンストラクションから発展し、建設現場から収集したデータを収集、分析、可視化をおこなう。ランドログの井川社長は「これまでの経験で見えてきた課題は、コマツの建設機械による対応だけではカバーできないボトルネックがまだまだあること。ドローンやAIを活用しエンドユーザーを含んだエコシステムを作っていくために、Azureを選択した」と語る。
具体的には、IoT対応建機やドローンで収集したデータをエッジ側で分析するとともに、Azure上のCosmosDBに蓄積・管理し、各事業者が自社のサービスを構築、提供できるようにする。またAIプラットフォームであるCosmos Servicesによる画像解析や、機械学習、AIの機能も付加していく予定だという。さらに今後、LANDLOGをグローバルに展開するためにもAzureのプラットフォームを用いると語った。
DX投資効果は11兆円だが国内企業はアジアよりも意識に遅れ
マイクロソフトは調査会社IDC Asia/Pacificとアジア15カ国で1560人のリーダーを対象にDXの経済効果に関する調査をおこなった。調査結果のポイントとしては以下のような点になる。
- 2021年までに日本のGDPの約50%をデジタル製品やデジタルサービスが占める
- 2021年までにDXはGDPのCAGR(年平均成長率)を0.4%増加させる
- DXによる利益率向上、コスト削減、生産性など3年間で80%向上する
この調査によると、DXが2021年までに日本のGDPを約11兆円押し上げるという。
こうした経済的インパクトが明らかになるとともに、調査の結果として見えてたのは日本の国内企業のDXの取り組みのアジア企業に対する遅れだという。
調査によるとアジアリーダー企業と国内企業を比較した場合、「国内企業はどのIT投資が適切かを決められない、サポートやリーダーシップが不足」、「新しいKPIへの取り組みが遅れ」、「ビッグデータへの投資が遅れ」、「DXの投資効果に楽観的」などの傾向が明らかになった。
特に組織面での取り組み、リーダーシップ、DX予算などではアジアのリーダー企業とは15-30ポイントの差がみられるばかりか、アジアのフォロワー企業にすら低い数字となる。これについて、IDCジャパンのリサーチバイスプレジデントの中村氏は「驚愕の事実」だと述べた。
こうした課題を踏まえ、中村氏は、日本市場でのDX推進のためのサプライヤーとのパートナー作りを提言。これに応えマイクロソフト平野社長は、クライアントとのコーディングを共同でおこなう「Hackfest」や、CDOのコミュニティの設立などの施策を進めていくと語った。