6月13日におこなわれたクアルトリクス合同会社の会見では、同社カントリーマネージャーの熊代悟氏とビー・エム・ダブリュー(以下BMW)の大和田岳史氏が報告をおこなった。
クアルトリクス(Qualtrics)は米ユタ州に本社を置くアンケート・リサーチのソフトウェア企業。今年の2月に日本に事業所を構え、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)のサービス提供を展開している。カントリーマネージャーの熊代悟氏は、ホテル業界や金融向けIT人材サービス、米ドキュメンタム(現オープンテキスト)などを通じて、一貫してCX事業に取り組んできた。
熊代氏は、米国の調査結果から、「80%の企業のCEOが自社が最高のCXを提供していると考えているが、顧客の側で最高のCXを体験したと答える人は8%しか存在しない」という結果を紹介した。ここにCXの大きなギャップがあるという。
またこれまで日本企業が顧客の調査をおこなう場合、外部委託などを通じて、大量の質問項目と分析・集計の期間を要しており、即座に改善ができなかったことを指摘した。さらにCX改善のためのアンケート調査へのIT導入についても、従来はCRMやWebアンケートとBIなどの分析ツールが分断しているため、一括したソリューションが困難であった。
こうした課題を克服するため、同社のソリューションは、リアルタイムに調査をおこない、分析・改善のアクションにつなげることを主眼においているという。
「会社全体だけでなく、それぞれの営業が担当しているお客様の満足度やNPS(ネット・プロモーター・スコア)の状況、不満点などの集計や相関分析が、ダッシュボードで可視化されます」(クアルトリクス 熊代氏)
担当者に改善のためのチケットを発券し、その後のトラッキングなどをおこなうため、改善アクションの実行に結びつけやすいことなども、このソリューションの特徴だという。
BMW Groupジャパンでは、 従来からもディーラー対策として調査はおこなっていたが、「ともすればディラーの評価のためのKPIが重視されるあまり、お客様の満足度が見落とされがちだった」(大和田氏)と言う。
そのため2016年10月にクアルトリクス・エクスペリエンス・マネージメント(XM)を採用し、CRMとDBの結合やアンケートの作成、集計・分析の一連のプロジェクトを3ヶ月で実施した。
以前に車両販売後に実施していた30項目にものぼるアンケートは、 クアルトリクスの先進的な条件分岐ロジックを活用することで、 顧客ごとに必要な3項目のみに減らし 回答率を10%高めることに成功。2017年に72,000件のお客様の声をリアルタイムで分析し、 各ディーラーのお客様のフィードバックを提供したという。
「重視したのはNPS、知人へのお薦めの意志がトレンドとしてどのように推移しているかに着目した。またフリーコメントの自然言語解析をおこなうことで、改善のための根本的な要因を把握することができた」(BMW氏)
言語解析は、クアルトリクスのXMとGoogleなどのAPIを連携することでおこなったという。BMWではこうした施策により、自動車業界が直面している課題に対応する事業変革のためのPDCAを続けていくという。