エンドツーエンドのNVMeと機械学習を搭載したPowerMax
AIロケットの燃料はデータだという。では実際にデータはどこにあるかというと、ストレージだ。いかに燃料を効率よく活用できるかはストレージの性能や機能にかかっている。そして運用においてはデータ保護が欠かせない。
ストレージについてはプライマリーストレージ事業本部 シニアマネージャー 森山輝彦氏が解説した。Dell EMCの新製品群におけるデータ(燃料)の価値を最大化する技術的な特徴として、同氏は「データ分析・処理速度の高速化となるNVMeの採用」と「インテリジェンス(AL/ML)の実装」を挙げた。
Dell EMCではオールフラッシュのポートフォリオがますます広がっている。従来型のストレージではXtreamIO、VMAX、PowerMax、Unity、SC Series、HCIやCIではVxRack、VxRail、VxBlockなど。多くの製品カテゴリでオールフラッシュ版が選べるようになっており、ワークロードに応じて最適な製品を選ぶことができる。
なおDell EMCでは「Dell EMC Future-Proof Loyalty Program」として全てのストレージポートフォリオに3年間の満足度保証、ハードウェア投資保護、保守の価格設定の明確化、また特定のストレージには効率保証、データ移行、オールインワンソフトウェアなどが組み込まれており、安心して利用できるようになっている。
今年のDell Technologies Worldで発表されたストレージ製品の目玉となるのがPowerMax。実質的にはVMAXの後継となる。エンドツーエンドのNVMeで構成され、インテリジェンスを実装している。最新技術を採り入れた最速のストレージだ。
PowerMaxへの進化への道として、森山氏はここ10年のストレージ技術の変遷を振り返った。HDDとSASをスタート地点として、まずはHDDがNAND型フラッシュに置き換わりドライブのレイテンシが激減。次にSASがNVMe(バックエンドのみ)に置き換わりコントローラのレイテンシが激減した。
PowerMaxではNVMeをバックエンドだけではなくストレージネットワークでも採り入れ、エンドツーエンドでNVMeが使われているのが特徴だ。さらに近い将来登場する予定のSCM(ストレージクラスメモリ)にもすでに対応している。
NVMeの価値について、森山氏は「マルチコアCPU、マルチコントローラーの性能を最大化します」と話す。理由として、フラッシュに最適化されたストレージアクセスプロトコルでランダムリードや大量書き込みで、より低いレイテンシを実現すること。並列処理に適していて、より多くのIO処理やトランザクション処理を可能とすること。デュアルポートのアクティブ/アクティブNVMeドライブで、RAID構成の柔軟化やRAS向上やIO負荷分散を実現できることなどを挙げる。
実際にPowerMaxでは最大1000万IOPS、150GB/秒という驚異的な性能を実現し、前世代比ではレスポンスタイムは半分、性能密度は3倍へ改善した。モデルはPowerMax 2000と8000の2つ。インライン重複排除によるデータ圧縮効率は最大で1/5。かなり圧縮できる。
PowerMaxの特徴はこうしたハードウェア的な強化だけではない。PowerMaxのOSにリアルタイム機械学習を組み込んだことも画期的だ。予測分析とパターン認識を用いてデータ配置の最適化を行い、性能を向上させている。なお、この機械学習によるオーバーヘッドはないという。また管理ツールにはHTML5ベースのUnisphere 9.0があり、ダッシュボードから容量やコンプライアンスなどのレポート機能が利用できる。
さらに森山氏は既存ユーザー向けに移行ツール(NDM)を挙げ、「全てのVMAXから中断することなく移行を実現できます」と話す。移行することで省スペースが実現できる。ミッションクリティカルなどパフォーマンスを要求するアプリケーションの移行も可能だという。
Dell Technologies Worldではストレージ製品に関連した新しいソリューションとして、SaaSベースのストレージ管理ツール「CloudIQ」も発表された。管理者は複数の拠点やクラウドに分散したストレージ群をCloudIQで集中統合管理ができる。機械学習を用いた予測分析でリスクを事前に予測できるのもメリットだ。現時点ではUnity/SCシリーズに無料バンドルで提供されるが、将来的にはXtreamIOやPowerMaxなどの製品にも対応を広げていく予定とのこと。
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これからのデータ保護では3つの「C」が鍵となる
データ保護に関しては、DPS事業本部 SE部 シニア システムズ エンジニア 小川達彦氏が解説した。これからのデータ保護で鍵となる3つの「C」として、小川氏は「Cloud」、「Converged」、「Cyber Recovery」を挙げた。
Cloud:クラウド活用とデータ保護
2016年に発表されたIDC調査によると、プライベートとパブリックを合わせたクラウドインフラは全体の40%となり普及が進んでいる。目立つのがバックアップや災害対策などデータ保護のための利用だ。
たとえばDell EMCが提供するデータ保護製品でパブリッククラウドを活用する特筆すべきものとして、ディザスタリカバリ先をAWS(Amazon Web Service)にできる「Data Domain Cloud DR」、パブリッククラウド内に事前定義されたデータ保護を使える「Data Protection for VMware Cloud on AWS(VMC)」がある。前者は災害対策用で、オンプレのAvamarとData Domainを元に、AWS上にVMwareイメージをAMIネイティブリカバリする。後者はVMCの一環として事前定義されたデータ保護サービスとしての利用ができ、バックアップ格納先をAWSのS3またはEBSとすることができる。
Converged:コンバージドされたデータ保護
近年HCI/CIが普及しつつあり、それとともにHCI/CIにおけるデータ保護の重要性も高まっている。その点Dell EMCでは、従来からVxRAILなどHCIにも最適化された「Data Protection Suite for VMware & Data Domain」のようなバックアップソリューションがある。それに加え「Integrated Data Protection Appliance」のようなデータ保護に特化したコンバージドインフラ自体も提供されている。
Cyber Recovery:サイバー脅威から守るデータ保護
サイバー攻撃はこれまでのように情報を盗む、システムを止めるものだけではなく、近年ではランサムウェアのようにデータを暗号化して破壊したり、身代金を要求するものも出てきている。サイバー攻撃対策として、データ復旧の必要性が高まっている。
こうした対策に有効なのが「Data Domain & Cyber Recovery Solution」。重要なデータにアクセス可能な人を悪意ある行為から隔離する(Retention Lock)、重要なデータそのものを隔離する(Air Gap Replication)ことでデータを保護する。
小川氏は「これら3つのCを含め、包括的に、適正なデータ保護コストで次世代データ保護プラットフォームを提供できるのがDell EMCのデータ保護ソリューションです」と強調した。
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