SQL Server 2016 の出荷以降、製品のリリースサイクルが一層加速されていると感じているのではないでしょうか。それ以前は数年の期間をおいてメジャーバージョンアップが行われていましたが、現在は概ね 18 か月というサイクルを目標として、新しいバージョンのリリースが行われるようになっています。
その理由のひとつは、クラウド上で提供されているデータベースサービスとの関連性にあります。既に多くの皆さんがご存知のように、Microsoft Azure の上で動作するPaaS 版 SQL Server とも呼ぶべき Azure SQL Database が存在します。クラウド上のデータベースサービスの利点のひとつは、サービス自体の更新が柔軟に行えることにあります。Azure SQL Database には、その利点を活かして、短い期間のうちに新機能が次々と実装され続けています。そのため従来のように長いサイクルでしか新しいバージョンをリリースしなければ、Azure SQL Database と SQL Server の機能差が大きくなってしまいます。
Microsoftは製品ベンダーとして、先行してAzure SQL Database に投入され、さらに一定期間の運用によって実績をつんだ新機能を、できるだけ早くSQL Server ユーザにも提供したいと考えています。その考えを実現するために、製品のリリース間隔が短くなっているのです。
また、それに加えて強調したいのは、SQL Server 2019 の見どころがクラウド版からの新機能の移植だけではない点です。すべてのユーザが全てのデータを今すぐクラウド上に移行できるわけではありません。そのようなユーザからの要望を満たし、オンプレミス環境でより多くの可能性をもたらすために、これまでとは全く異なる方法で独自のソリューションを提供しているところにも注目してほしいところです。
それでは、本連載で取り上げる予定のトピックのうち、主なものをいくつかを紹介しましょう。(本校執筆時点では SQL Server 2019 CTP2.3 が提供されています。今後リリースされるバージョンでの機能追加状況によってはトピックが増えるかもしれません)