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アクセンチュアが予測する「Mobility 3.0」──Googleとソフトバンクが覇権を握る!?

  2019/05/29 07:00

 アクセンチュアは、「Mobility 3.0」時代の覇権シナリオの発表をおこなった。「CASE」と呼ばれる変化がさらに進み、自動車産業は破壊にさらされるとともに、Google、ソフトバンクなど巨大企業の覇権が生まれる可能性があると同時に、モビリティ関連の新たなサービスビジネスが起ち上がるという。

CASEによって大転換が起こり、新たな事業機会が生まれる

アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 川原英司氏/アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 北村昌英氏/アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 矢野裕真氏

 自動車産業の変化点を示す言葉に「CASE」がある。「Connected : コネクテッド(通信)」「Autonomous:自動運運転」「Share / Service:シェア/サービス」「Electric : 電動化」といった4つの流れと相互作用によって、クルマを取り巻く市場は大きな変革を迎える。このことは、日本の自動車産業にとっては危機であると同時に、通信、ハイテク、金融、電力までを横断する変革をもたらすビジネスチャンスでもある。なぜなら現在の自動車産業が、免許を保持する人々に限定されるのに比べ、新たなモビリティビジネスは、これまで「移動弱者」であった免許非保有者まで含む70億人が対象になるからだ。
 
  ならば、どのような企業が、来るべきモビリティ産業の覇者となりうるか。アクセンチュアが提示した「Mobility 3.0」というシナリオは、その全体像となるものだ。

 なぜ「3.0」なのか。アクセンチュアのマネジング・ディレクターの川原英司氏は、100年続いた自動車産業が、現在「CASE」による変化に直面している。今後この流れが加速し、「産業のコンバージェンス」が生じる、その段階が「Mobility 3.0」なのだという。そこで描かれる移動社会とは以下のようなイメージだ。

  • ハンドルのない車と交通事故のない社会 ── 都市部の移動の多くがロボットタクシー/バスにシフトし、人の加入が無くなることで事故率が大幅に減少
  • 移動の必要のない新たなライフスタイル ── デリバリーサービスや仮想現実により移動が減少、移住による新たな経済圏が誕生
  • 不動産化ビジネス化するモビリティ ── 車両のモジュール化により外装、内装を店舗やサービスなどの用途別にカスタマイズする移動式不動産- モビリティの普及
  • 無料モビリティサービスの普及 ── 自動化による移動コストの低下により無料移動サービスが普及、裏には広告や送客効果

 先に述べた「CASE」についていえば、今後4つの牽引力が掛け算で効いてくる。電子化、コネクテッド化、サービス化までは、現在の自動車関連ビジネスにも既に見ることができる。今後、起きるのは「自動化」の実現だ。自動化をめぐっては現在、議論がある。一方はクルマを「社会システムの端末」とみなす「ネットワーク中央制御型」の方向、もう一方はロボットカーなどによる「自動制御型」の方向だ。

CASEが掛け算で効いてくると

CASEがもたらす重層的パラダイムシフト

 こうした未来型のモビリティによって「顧客」「商品」「ビジネスモデル」は大きく変化する。

新たに台頭するモビリティ市場の覇者は誰か

 次世代のモビリティビジネスの領域で、もっとも覇権を狙う立場にあるのが、ITジャイアント企業の「GAS── グーグル,アマゾン、ソフトバンク」だ。このうち、グーグルとソフトバンクの戦略について川原氏は解説した。

 グーグルを擁する米Alphabetのモビリティ戦略は、1)“車載システム”視点、2)“移動サービス”視点、3)“都市づくり”視点からなる。それぞれ、Google、Waymo、Sidewalk Labsの3つの企業が取り組んでいる構図だ。

Alphabet(Google)のモビリティ戦略

「膨大な顧客との接点とデータの基盤を持ち、移動サービスと都市づくりへの“伸びゆく手”を展開している」(川原氏)

 一方のソフトバンクは近年積極的に出資・提携してきた、Uber、Grab、DiDi、Olaなどのライドシェアプレイヤーを通じ、豊富な顧客基盤を形成しつつある。この4社による3000万人を超えるドライバーによって車両やサービスへのニーズを把握でき、さらに車両、充電インフラから保険、メンテナンス、広告/送客まで含んだ戦い方が出来る立場にある。

ソフトバンクのモビリティ戦略

5G、エネルギー、金融 ── 破壊がもたらす新たなチャンス

 5Gの商用化が始まると、その高速・大容量、低遅延、多接続の特徴によってモビリティへの期待はさらに高まる。現在、5Gを見据えた運転領域やその周辺領域での実証や検討が進んでいる。遠隔操作や自動運転、スマートトラフィックコントロールなどだ。ソニー、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどによる実証実験が盛んに行われている。

 金融分野では、走行状況にもとづくローンや保険などの金融ビジネス分野での新しい価値を生む可能性も大きい。

流通/ハイテク/金融/電力分野に求められる戦い方

 また電気自動車の「バッテリー利活用」のビジネスがある。電気自動車はある意味、“動く蓄電池”であり、これまでの再生エネルギーの課題を解決する可能性もあると、アクセンチュアのマネジング・ディレクターの北村昌英氏は語る。

 こうした可能性を踏まえるならば、「Mobility 3.0」によって生じる「破壊的イノベーション」の影響は計り知れない。

「施策を考え経営戦略に落とし込むストラテジストとテクノロジーの知見を持つフューチャリストが融合し、戦略を立案することで、難局を乗り切ることができる。WaymoやGoogle Glassなどを開発したGoogle Xが例となる」というのは、同社のマネジング・ディレクターの矢野裕真氏。必要なのは「未来を描く力」だと強調した。

今回の発表のくわしい内容は、アクセンチュアの新刊『Mobility 3.0』(アクセンチュア戦略コンサルティング本部 モビリティチーム:著、東洋経済)にまとめられている。



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