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ITユーザのためのRFP書き方講座

As-Isの業務フローを描いてみよう


 前回はRFPを記述するにあたって、まず大切になる組織の目的の確認についてお話ししました。経営層やエンドユーザ部門の責任者などから、ITを活用して業務を変えたい、創りたいという話を聞いたら、それを洗練させてIT導入の目的に落とし込んでいくというお話でした。超上流の話なので、まだIT自体のことは話題にならず、結局、どういう業務を実現したいのか、誰がうれしいのか、そしてそれが、そもそもの経営の目的と合致しているものなのかということを確認するような作業になると思います。また、併せて目的を定量的に表現することについてもお話ししました。

 今回は、その後か、あるいは、ほぼ同時に行われるAs-Isの業務フローの記述についてお話しします。RFPを出すにしても、自分達のやりたいことをしっかりと提案者に伝えなければなりませんが、まずは現状がどうで、どんな課題を持っているのかということをわかりやすく伝えるのが、このAs-Isの業務フローです。こうしたチャート自体は皆さんの中にもご覧になった方が多いかもしれません。今回は、このフローにシステム化の目的をマッピングして、業務のどの部分に改善ポイントがありそうかを検討し、さらに、もっと現実的な課題を考えて、やはりフローにマッピングする部分についてお話ししていきたいと思います。では、順番にご説明していきましょう。

現状(As-Is)フローを描く

 業務フローにはさまざまな書き方がありますが、ここでは誰もが直感的に理解できて、記述ルールについても、それほど細かく定義されていない「ラヴエム」という方法で記述してみました。仮にイメージしたのは、機械メーカの引き合いから受注までです。工作機械をオーダメイドで製作しているこのメーカでは、顧客の要望に応じて自分達の商品をカスタマイズしています。それほど複雑な機械ではないので、通常は、電話で簡単な要望を聞き、大体の設計と見積を出した後、顧客とやりとりしながら精緻化していくという仕事です。

 この会社では、最近海外からの引き合いが増えてきています。しかし電話での連絡が多いため土日や深夜は受付できず、折角の顧客を取り逃がしてしまうこともありました。また、見積の回答も仕様検討に時間がかかるため、その間にライバル企業に顧客を奪われてしまうこともあります。24時間365日、引き合いを受け付けられ、早期に見積を出すことが売上拡大に綱がる。経営層はそんなことを考えて、この引き合いから受注までの業務をITで支援しようと考えました。前回の例にならって、洗練した目的は以下の通りになります。

 ① 海外からの引き合い受付の機会損失をゼロにすることによる売上の20%拡大

 ② 商談時間を現状の半分に短縮して営業職の生産性を向上させる

 そんなことを意識しながら、まずは現状の業務がどのように流れているかをフロー図に書いてみます。

 改めて説明する必要もないくらい、直感的でわかりやすい書き方です。お客様や部門などの、いわゆるアクターを左側に記述し、彼らが行う作業を丸四角で囲み、受け渡される情報を矢印で表しています。情報の一部ではありますが、作業の結果出来てくる特別な成果物があれば、それとわかるように書いておきます。フローの中の「初期仕様書」や「詳細仕様書」がそれです。(「見積書」も成果物ですが、この業務では正式な見積書を出すのはもっと後のことで、とりあえずこの時点では電話で見積を回答しています。この仕事は、作業開始後にも追加の要望や変更があるらしく、正式な見積書はその後になります。

 業務フローの書き方自体は自由です。これ以外に表記法はいくつもありますし、とにかく、誰が、何を行うか、その間にやりとりされる情報が何で、成果物がなんなのかがわかれば、それで結構です。一点、留意していただきたい点は、やりとりする情報に関して、漏らさず、できるだけ具体的に書いておくことでしょうか。この部分は、後でシステムのインタフェース仕様を決める際の重要な情報になり、これが漏れていたり、ベンダに勘違いされたりして、開発中、あるいは本稼働後に思わぬトラブルを招くことがあります。ここでは”引き合い情報”とか”納期検討指示”と書かれておりますが、出来れば、別紙にでも実際にやりとりされる情報の項目や記述例を書いておくことをお勧めします。

次のページ
フローに目的を割り当てる

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この記事の著者

細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

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https://enterprisezine.jp/article/detail/12126 2019/06/11 10:24

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