
最近、IT業界以外の人にも急速に広がっている言葉に「RPA」があります。大手企業の人員削減というニュースと合わせて取り上げられることも多く、とても注目されていることがわかります。これまでもシステム化による人員削減などが進められていたにも関わらず、RPAの導入による効果がなぜこれほど期待されているのか、その概要を今後の発展も踏まえて解説します。
RPAとこれまでの自動化との違い
RPAはRobotic Process Automationの略で、「ロボットによる処理の自動化」と訳されます。ロボットと言っても、これまでのロボットのように物理的な実体が現れるわけではなく、コンピュータの中で動作するソフトウェアです。人間がこれまで手作業で行っていた作業をソフトウェアが自動的に処理することで、事務作業などを効率化することが目的です。
これまでにも事務作業を自動化する仕組みはいくつかありました。例えば、見積や契約、請求、在庫などを管理するシステムは多く存在し、まったく使っていないという企業はほとんどないでしょう。また、Excelなどのソフトウェアが備えるマクロ機能を使って、日々の業務の効率化を考えている人も少なくありません。
そのほかにも、自動化を実現する方法として表のようなものがあります。

図表:自動化を実現する方法 [画像クリックで拡大表示]
しかし、システム開発にはプログラミングが必要なため、新たな機能を追加したい、既存の機能を修正したい、と思っても開発者に依頼する必要があり、すぐには実現できませんでした。Excelのマクロ機能では、Excelの中での処理は簡単に記録でき、すぐに自動化できますが、Excel以外のプログラムを操作するにはプログラミングの知識が必要でした。
ここに登場したのがRPAツールです。RPAツールはマウスやキー操作を自動的に記録するなどの方法により、定型的な作業を誰でも簡単に自動化できます。Excelだけでなく、Webブラウザや業務アプリなど、複数のアプリケーションを連携して操作できるため、これまで以上に自由度が高まります。新たな機能の追加や、既存の機能の修正が必要な場合でも、事務担当者が自分で修正できるというメリットもあります。
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増井 敏克(マスイ トシカツ)
増井技術士事務所 代表、技術士(情報工学部門) 1979年奈良県生まれ。大阪府立大学大学院修了。テクニカルエンジニア(ネットワーク、情報セキュリティ)、その他情報処理技術者試験にも多数合格。また、ビジネス数学検定1級に合格し、公益財団法人日本数学検定協会認定トレーナーとして活動。「ビジネス」×「数学...
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