DXでCO2を削減するのは企業の使命
カンファレンス開催前週にはニューヨークで「国連気候行動サミット2019」が開催され、気候変動対策の必要性が指摘されたばかりだ。同社でCEO(最高経営責任者)を務めるジャン・パスカル・トリコワ(Jean-Pascal Tricoire)氏は基調講演で、「急増するエネルギー需要を効率化することが、顧客企業にとってもシュナイダーにとっても喫緊の役目だ。そのためには、エネルギー転換とデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する必要がある」と力説した。
近年、シュナイダーは産業用電機のマネジメントとオートメーション(自動化)におけるDXの必要性を訴えている。長年にわたり産業用電機関連ビジネスを手掛ける同社は、OT(Operational Technology)分野の知見とマジメントのノウハウを持つ。同社幹部は「長年、さまざまな電力管理装置を開発し、その運用管理技術を持つ。シュナイダーの強みは、ビルディングやプラント、製造分野の現状と課題を理解し、最善の解決策を提案できることだ」と説明する。
実際、シュナイダーのビジネスは堅調だ。2018年の年間売上は、実績ベース約260億ユーロ(約3兆3000億円)に達する。世界100カ国以上でビジネスを展開し、売上げに占める新興国の比率は42%となっている。
トリコワ氏は、「IoT(Internet of Things)や、AI(人工知能)、5Gといった最新技術を活用するには、これまで以上の電力が必要だ。ビルディング、データセンター、公共インフラ、製造業で消費されるエネルギー量は、全世界エネルギー消費量の70%を占める」と指摘。そのうえで、企業が既存のエネルギー消費構造から脱客してDXを実現し、現在稼働しているビルディングの半数でDXとオートメーションが実現できれば、2040年までに世界のCO2排出量の50%を削減できる」との見解を示した。