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バックアップ新時代

次世代バックアップのキーワードは「自動化&セルフサービス」と「データに基づく意思決定」

 今も昔もかわらず縁の下の力持ちとして重要な役割を果たしてきたバックアップシステム。新時代に対応しておくべき勘所をバックアップの専門家たちがオムニバス形式で連載する。

バックアップの現状とは

 バックアップとはデータをコピーすることであり、不測の事態が発生した時にデータを復旧するために利用されます。小規模な環境では各アプリケーション・ミドルウェア、インフラが持つバックアップ機能を利用するケースが多いでしょうが、規模が大きくなると専用のバックアップソフトウェアを使用することが多くなります。これは、クロスプラットフォームを統合的に管理したり、より高度な機能によって大規模な環境を効率的に管理したりするためです。

 バックアップソフトウェアは1990年台から継続的に進化を続けてきています。LANフリーバックアップ、重複排除、合成フルバックアップ、即時リカバリなど、単なるコピーを超える多くの機能を追加してきました。現在では、多くの機能を持つバックアップソフトウェアと標準のバックアップ機能では機能面での棲み分けが完了しているように見受けられます。

 市場で高いシェアを持っているバックアップソフトウェアは20年以上の歴史を持つものが多く、バックアップソフトウェア自体が課題となる現状が見えてきました。では、なぜ長い歴史が課題なのでしょうか。簡単にバックアップソフトウェアを構築するために必要な要素をおさらいします。

 バックアップサーバーを構築しソフトウェアをインストール、スループットを満たすためにバックアッププロキシの多重と並列度を設計、レプリケーションの設計とカタログデータベースなどの設計や管理を行います。併せて、保存先となるディスクとテープの管理も行う必要があります。

 ソフトウェアも同じく考慮が必要です。設計・構築・運用をするためには基本となるアーキテクチャーと専用のユーザーインターフェースを学習する必要があります。つまり、長い歴史を経て追加された機能追加によって、機能面の豊富さとは逆にユーザーにとっての利用のハードルは上がってしまっているというのが現状です。

 DXが謳われる現在、「クラウド・自動化・セキュリティ」といったキーワードが今後のシステム要件として上がってきています。従来型のバックアップでは組み上げるのに精一杯で、これらの新しい要件に対応する余力が出せないというのが現状ではないでしょうか。 

ルーブリック・ジャパン作成[画像クリックで拡大表示]

デジタルトランスフォーメーション時代に最適なバックアップとは?

 デジタルトランスフォーメーションの世界では、従来のような「スクラッチ&ビルド」のアプリケーションはビジネスが求めるIT/デジタルプラットフォームへの要件に追従することが難しくなります。特に意識をしておきたいのが、以下の4つの点です。

  1. Faster: 俊敏なIT
  2. Lower TCO:TCOの最小化
  3. Simpler:全てにおいてシンプル・簡単
  4. Flexible:導入して塩漬けではなく継続的な技術革新

 これを満たせない場合には次世代のアプリケーションシステムのリリースを遅らせるボトルネックになったり、高コストかつ複雑なシステムは価格競争力を削いだりする要因になります。

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HCI型のバックアップアプライアンス

 従来型バックアップの課題を解決し、デジタルトランスフォーメーションを実現するために注目をして頂きたいのがHCI型バックアップアプライアンスです。これは、長く続いてきたソフトウェア機能にアドオンをするのではなく、現在の要件を満たす形で再設計されたバックアップアプライアンスのことです。

 ルーブリックの場合、バックアップソフトウェア以下全ての機能を2Uのハードウェアアプライアンスもしくはパブリッククラウド向けにソフトウェアアプライアンスで提供しており、15分?1時間の初期設定後にすぐに利用することができます。機能面ではバックアップ、災害対策、アーカイブ、コピーデータ管理、検索&分析、ランサムウェア対策の全てがプリインストールされるため、追加のアドオンやプラグインなどの手間は不要です。パブリッククラウドを利用するような早さでルーブリックを利用することができます。

 運用面を考慮し、単一障害点(SPOF)がないように設計されています。障害が発生してもバックアップ、リストア、運用管理などに影響が出ません。多くのバックアップシステムではバックアップサーバーがSPOFとして存在し、ここが落ちるとバックアップができなかったり、リストアや管理操作ができなかったりします。これを回避するためにはアプリケーションやOSの機能でHAを組んだり、互換性を含めてその維持が必要だったりするのに比べると、日々の運用性は格段に向上します。

 つまり、従来は複雑な設計や導入が必要だった機能群が全て網羅されているのがHCI型のバックアップアプライアンスなのです。

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APIが提供する次世代型バックアップ

 バックアップはないと困るものでありながら、平常時はあまり使われないという印象を持つ方もいると思いますが、如何でしょうか。これでは、費用と工数を掛けたシステムということを考えると非常にもったいないです。次世代のバックアップシステムを検討するにあたって、価値あるプラットフォームに向けたアプローチを提唱させて頂きます。

 キーワードは「自動化&セルフサービス」と「データに基づく意思決定」です。

 「自動化&セルフサービス」は、端的にいうとデータ所有者(アプリケーションやミドルウェア、サーバー管理者)が自由にバックアップリカバリをすることを指します。従来のバックアップシステムは専門のスキルが必要なため、データ所有者自身が利用するにはあまりにもハードルが高いのが現状でした。バックアップソフトウェアを利用しないデータ所有者は、自分たちが使用しているツールの標準機能でバックアップを運用します。ツールの数だけ運用が存在することになり、属人的かつ個別最適な運用となり、全体最適を進める上での阻害となってしまう場合もあります。

 そこで、ルーブリックの場合はフルREST APIのアーキテクチャーを採用しました。これはルーブリックの全ての管理をREST APIで行えるということです。これにより、新しいインターフェースを習得しなくても以下のような既存環境への統合が可能になります。

・既存の運用フレームワークに統合することでI Tオペレーション管理の自動化
・データ管理者にとって使い慣れたツールに統合することで日々のデータ管理を標準ツールからコントロール

 もう一つのアプローチは「データに基づく意思決定」です。バックアップの設定はビジネス要件に基づいて管理者が設定します。しかし時間を経過すると「重要度の低いシステムに高コストなバックアップ」を提供したり、「重要度の高いシステムに必要なバックアップが提供されていない」という現象が発生したりします。これは、アプリケーションシステムの重要度は時流によって変化しますが、バックアップの設定は一度行ったら見直されないことに起因します。 ルーブリックのREST APIを使用することで、使用状況を簡単に取得することができます。そのデータを他のERPやCRMなどと連携することでBIツールなどと連携をして、ビジネス視点での判断を支援することができます。

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 どちらの場合でも重要だと考えているのが、汎用的なAPIを使用しているという点です。専用のクライアントソフトウェアが必要な場合、クライアントとサーバー側が密結合になってしまうため、導入時の要件の確認だけでなく運用後も継続的に互換性の確認が必要になり、俊敏なITを阻害してしまいます。REST APIであれば、PowerShell、Python、Goなどの汎用的なスクリプト言語とも統合することが可能となり、疎結合でシステム連携を実現することが可能です。

 今回は比較的オンプレミスのバックアップを中心にご紹介させて頂きましたが、バックアップ対象となる本番の多様化は広がる一方です。ハイブリッドクラウドからパブリッククラウドに完全移行するユーザー、SaaSで活用にフォーカスするユーザー、Mongo DBやCassandraなどのNoSQLも台頭してきています。

 今後のバックアップシステムも、機能面で成長しながらビジネスユーザーから求める4つの軸「Faster / Lower TCO / Simpler / Flexible」を満たすようなプラットフォームの提供が求められていきます。

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この記事の著者

飯野 昌紀(イイノ マサキ)

ルーブリック・ジャパン株式会社 SEマネージャー最近10年間は外資系ITベンダーのプリセールスエンジニアとしてデータ分析ソフトウェアからプラットフォーム、運用までの幅広い領域を担当。複数分野での経験を生かすことで、特定の業界に縛らずに製品の特徴を最大限に活用した提案活動に従事。2017年10月からル...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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