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SASはクラウドに力を入れ、コンサルティングサービスも製品とバランスをとりながら伸ばしていく

edited by DB Online   2020/02/25 06:00

デジタル変革のためのサービスを提供する

 前述のようにコンサルティングのビジネスが伸びたことは、SAS自身のビジネス変革の1つだろう。「過去はアナリティクスのツールを提供しソフトウェアをインストールしてもらう形のビジネスでした。今はアナリティクスを活用して企業がデジタル変革を実現する。その際にSASのソフトウェアを活用して、ビジネスを変革してもらうのです。それをコンサルティングサービスでサポートしています」と堀田氏は言う。

 企業のデータ活用全般についてはこれまで、大手SI企業やコンサルティング企業などが担い、その中のアナリティクス製品の使いこなし部分だけをベンダーがサポートする体制が多かった。SASが今伸ばしているのは、そういったコンサルティング企業の下で製品特化したサービスを提供するものではなく、「90%は顧客とプライムのコンサルティングサービスの契約となっています」と堀田氏。つまり企業のデジタル変革の中のデータ活用部分のパートナーとして、SASを選んでいる企業が増えているようだ。

 さらにもう1つSASで増えているサービスビジネスが、顧客企業におけるデジタル変革人材の育成だ。データサイエンティストは慢性的に不足しており、どの企業も優秀な人材の採用は思うようにいかない。そうなると、社内の人材をデータ活用ができる人材へと育てようとする企業が増えている。これに対しSASでは、製品トレーニングに加えデータサイエンス人材育成の実践的なトレーニングを実施している。特に個別の企業向けにカスタマイズしたトレーニングを、オンサイトで実施するなど柔軟な対応ができる点は評価されているようだ。

 SASでは、これらの強みを2020年も継続する。そして企業のデジタル変革に対しテクノロジー面の支援だけでなく、プロセスとピープル(人)を変えることでアプローチする。企業におけるテクノロジー、プロセス、ピープルのバランスを整えるサポートをすることになるのだ。「SASはこれまで、テクノロジーの会社という認識が多いが、コンサルティングサービスや教育のサービスも併せて、顧客のデジタル変革にエンド・ツー・エンドで対応していきます」と堀田氏は言う。

 BI、アナリティクス製品ベンダーは買収などの動きも活発で、製品やサービスの機能の高さなどだけで顧客から選択されにくい面もある。さらに1つの企業でも、部門ごとに複数のBIツールを採用している例も多い。つまりは、明らかにこれが本命と言えるような特定の製品があるわけではない。そういうった状況の中では、もちろん製品の機能的な側面を進化させる必要はあるが、既に豊富な機能を持つ製品を活用しさらにそれでデジタル変革にまで至るコンサルティングサービスが重要となる。これまではその部分はコンサルティング会社などのパートナーに依存していた面もある。今後は自らも積極的にデジタル変革を実現するサービスのところにまで注力するSASの変化は、今後のビジネス成長には確かに有効そうだ。



著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリストとして、クラウド、データベース、ビッグデータ活用などをキーワードに、エンタープライズIT関連の取材、執筆を行っている。

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