テレワークの成否を決めるルールづくりの秘訣とは?
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは自社のプロフェッショナルが経験を通じて得た知見や日頃活用しているテンプレートやノウハウを、「ルール」「ツール」「信頼」の観点からまとめ、一般公開した。今後数回にわたり、その解説やテンプレートを紹介していく。
新型コロナウイルス問題で、あまりにも急激にテレワークを導入したため、様々な課題が浮上している。今回在宅を義務化する企業が増えたが、テレワーク自体は10年以上啓発活動が続いている。しかし、総務省発行の『令和元年版 情報通信白書』によると全企業のテレワークの導入準備が出来ている企業は19%にとどまる。つまり8割以上の企業が、環境が整わない中での導入になったということになる。
「ルールやツール以前の混乱が多くの企業で起きている」と語るのは、EYJapan ピープルアドバイザリーサービス 組織・人事コンサルティング部門)のリードパートナー 鵜澤 慎一郎氏。原則は出社禁止であっても、年輩の社員ほど会社に来てしまう。若手社員は在宅で仕事をして、高齢の管理職が会社に来てしまうという「分離問題」が生まれているというのだ。
また、在宅勤務の指示があっても会社に来てしまう人は一定数いる。こういう人たちを労務管理上どうすれば良いのかという相談が多い。ルールに従わず出社した人は出勤扱いにしないという解釈も生まれている。
たとえば、在宅にいる時の「まだら時間」をどうみなすのか、仕事の合間に少し他のことをする時間をどこまで考慮すべきか、万が一在宅勤務中に怪我をした場合の労災はどうなるのかなど、労務管理の立場からの相談は数多い。
さらにIT部門の担当者にとっても、社外からアクセスする場合のネットワーク問題、個人の通信機器を使う場合の管理や費用負担、社内のヘルプ部門への問い合わせも殺到して対応できないなどの悩みも生じる。
こうした問題に対して現段階では「自律的ルール」で凌ぐしかない。EYJapanの提供するルールは人事や労務管理のルールが整った上での個人や組織、チームの自律的なルールに重きを置いている。特に個人が自律的にルールを決めることを重視している。
リモートワークであっても、出社時と同じように働く時間を定め、勤務開始と終了時間を決める。上司部下のコミュニケーションも朝夕など定期的に行い仕事の進捗状況の共有を行うなど、「あたり前のこと」を会社側の指示を仰ぐことなく、自分自身で決めることが重要だ。以下のルールのひな形を活用してもらいたいと、EYJapanの鵜澤氏は薦める。
なぜルールが必要なのか?
どのようなルールを作ればよいのか?
チームだけでなく、自分のMyルールもしっかり作る
【チーム】チームとして仕事を推進するために必要な最低限遵守するルール : ルール設定の際の視点
- シチュエーション別のルール 例)チーム内会議、クライアント会議、○○会議など
- 推進の仕方のルール:例)使用するコミュニケーションツールや会議の進め方
- 想定される最低限の生活環境を考慮したルール:例)介護、子育てなど
【個人】Myルール (最も効率よく働くための個人ルール:ルール設定の際の視点
- ライフスタイルに合わせた独自のルール 例)○○の送迎後何時から始業
- ワークスタイルにわせた独自のルール:例)集中する時間が欲しい
- コミュニケーションのルール:例)なるべく顔はださない等
ルールを決める前に意識したい、最低限のマナー
- 就業時間を意識する。翌朝の打ち合わせや会議の招集依頼を就業時間後に送信することは避ける。
- 仕事とプライベートの境界を意識し、業務が終われば PC を OFF にする。
- チームメンバーどうしが連絡可能かわかるように Skype/TEAMS では正確なステータスを表示する。
- Outlook カレンダーは常に最新状態を保つ。
- 会議招集のメールに、会議の目的、当日のアジェンダ、前提条件、準備すべきタスク、担当者など必要な情報を記載し、会議参加者に不安を持たせないように配慮する。
テンプレート1. リーダー、上長用
テンプレート2. メンバー全員用
ルール作りに役立つプロセスやテンプレートは、以下をご参照下さい