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「Gartner IT Symposium/Xpo 2020 in Japan」レポート 中外製薬はDXをどうやって「全社ごと」化したのか

edited by Operation Online   2020/12/14 08:00

 様々な業種の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させている。製薬会社もその例外ではない。11月17日から19日の3日間にわたって行われたオンラインイベント「Gartner IT Symposium/Xpo 2020 in Japan」の最終日、基調講演に登壇した志済聡子氏は「Dxを“全社ごと”化する -中外製薬のDxへの挑戦-」と題した講演を行なった。この記事では同氏がリーダーとなってから進めてきた変革の詳細を解説する。

4つの柱で進めたDX

<p>中外製薬株式会社 執行役員 デジタル・IT統轄部門長 志済聡子氏</p>

中外製薬株式会社 執行役員 デジタル・IT統轄部門長 志済聡子氏

 中外製薬は、2020年8月に経済産業省が発表した35社の「DX銘柄2020」の1社として、医薬品業では唯一選ばれた企業である。2002年からは研究開発力を活かし、スイスの大手医薬品メーカーF. Hoffmann-La Roche AG(ロシュ)グループの傘下で医療用医薬品の開発に特化したビジネスを展開している。強みとするのががん領域および抗体医薬品領域の医薬品開発であり、両分野では国内トップシェアを誇る。

 志済氏はIBM時代に積んだ豊富な実績を買われ、2019年5月にデジタル担当の執行役員として入社した人物である。代表取締役会長兼CEOの小坂達朗氏との面談では、「単なるIT担当役員ではなく、ビジネスのコアである創薬にデジタルを活用し、本気で中外製薬を変えるつもりで来てほしい」と言われたと明かす。製薬会社の戦略は大きく2つに分けられる。1つが新薬の開発を追求するか、もう1つが後発薬に注力するかだ。中外製薬としては前者の戦略で生き残る会社でありたいと考えた。

 製薬業界をリードしてきたメガファーマと呼ばれるトップ企業群は、これまでは画期的な新薬開発を続けることでビジネスを成長させてきた。業界全体に共通する課題は、R&Dの生産性が年々低下の傾向にあることだ。市場にリリースするまでの期間の長期化、それにともなうコストの増大、成功確率の低下は深刻で、デジタルに活路を見出したいと考えたのだ。投資を最適化するには、事業全体を効率化しないといけない。「ならば『全社ごと』にしようと考えた」と志済氏は当時を振り返る。

 DXを進める上で重視した柱として、志済氏は以下の4つを挙げた。

  1. トップのリーダーシップ

  2. 組織体制の整備

  3. ビジョンと戦略

  4. デジタル人材の獲得及び育成、組織風土改革

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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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