情報の可視化・共有化
経営・業務状況の可視化・共有化を行い、その情報を基に適切かつ迅速な対応を取る事が、会社の経営レベルのみならず、日常業務の実施時に求められています。情報を必要とする人は、必ずしも経営トップや管理者層だけではなく、業務の担当者レベルにも広めていく必要があります。そのために、経営・業務判断を行う人が自ら情報を入手し分析できるシステム環境の構築が求められてきます。
BIツール活用の現状
情報を可視化・共有化するために、BIツールは必須ではありません。ERPシステムを導入している企業であれば、可視化・共有化すべき情報の多くはERP内に存在しており、ERP内の参照機能を活用する事で情報の取出しは可能です。しかし、ERPは実績(トランザクション)データの保管・集積と単純な集計には適していますが、分かりやすい形でのデータの可視化・共有化や分析は決して得意としていません。そこでBIツールを上手に活用する事で、情報の可視化・共有化の機能を向上させる事ができます。また、ERP以外のシステム情報とも連動させ、より有機的な情報の開示が実現できます。
図1のように、今までのBIツールの使い方は、大きく分けて以下の2通りがあります。
- 報告などのレポート作成ツール:レポートや集計画面をERPなどの基幹システムで実現せずに、BIツールで作成し、経営トップ層や管理者の上層部、または関連部門へ配布をする事で情報を提供。
- 管理・企画部門による分析ツール:経営企画室などの直接的な業務に携わっていない部門の人が情報を月次レベルで収集・分析し、次月や次期に向けた提言・計画修正、などを実施。
上記1.については、それなりの導入メリットがありましたが、2.の場合の導入効果がでていないケースが多くあります。この場合、経営企画部門での分析・提言・指示が作成され、実施されるまでの時間差(タイムラグ)が長く、提言の内容によっては陳腐化している事もあります。実施されるケースはまだ良い方で、提言までに留まり、実現に至らない場合も多くあります。その結果、多大な費用を投資して導入したBIシステムなのに、レポート作成以外にはあまり使われないシステムになっている企業が多く見受けられます。