実施を控える電子インボイス
2019年10月1日より「消費税の軽減税率制度」が実施されるのに伴い、従来方式を維持しながらも区分経理に対応するため「区分記載請求書等保存方式」が導入されている。多くの事業者が現行の運用に適応していく中で、2023年10月1日より新たに導入されるのが「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」である。
このインボイスは、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものとされている。では、このインボイス導入によって企業にはどのような影響があるのか。「BtoBプラットフォーム」を展開するインフォマート 事業推進・戦略営業 執行役員を務める木村慎氏は、「まず、これまでのように事業登録者は、取引相手に対して請求書だけを送付するのではなく、既定の形式に則ったインボイスを交付しないといけなくなります。もちろん、請求書とインボイスを別々に交付することもできますが、共通の項目も多いためインボイスを網羅した形式の請求書を送ることになっていくでしょう」と説明する。
そして、このインボイスとともに話題にあがるのが「電子帳簿保存法」の適用である。その背景には、前述したインボイスに則った請求書を発行する際に、適格請求書発行事業者の登録番号や税率別の合計額など記載しなくてはならない項目が増えてしまうことが挙げられる。こうした工数の増加や紙による帳票管理が抱える課題解決のために注目を集めているのが、インボイスを電子化する「電子インボイス」だ。
この電子インボイスについて方々で議論がなされている中で、国内の事業者が適格請求書等を発行、受領するにあたって共通で利用できる電子インボイス・システムの構築を目指しているのが「電子インボイス推進協議会(E-Invoice Promotion Association:以下、EIPA)」だ。ERPパッケージベンダーを中心に組織された「社会的システム・デジタル化研究会」の下部組織でもあり、昨年7月にインフォマートやSAPジャパン、マネーフォワードなどを含む業務システムベンダー10社が発起人となって設立されている。