企業の支出管理を一元化し、効率化することで利益を生み出す
押久保剛(以下、押久保):コロナ禍において、働き方の変化が起き、それは企業収益の構造変化にもつながりました。日経新聞の報道によると、上場企業の2021年3月期は出張費や交際費などの関連経費が前期比で約7兆円減る見通しだそうです[※1]。
企業はこの浮いたお金を今後のためにキャッシュとして残すか、自社のDXなど成長投資にあてていくでしょう。企業は手に入れる売上や利益追求だけでなく、出て行くコストに今まで以上に目を向け、両輪で成長を目指すようになるはずです。小関さんが今回日本代表を務めることになったCoupaは、まさにビジネスにおける支出管理の中で、注目を集める企業です。まず簡単にBSM、そしてCoupaについてご説明いただけますか。
小関貴志氏(以下、小関氏):組織としてのお金の使い方は、企業の戦略実行の要であり、優先順位の現れです。BSMは、企業における支出を包括的かつ戦略的に管理するという考え方で、Coupaはそれを実践するためのソリューションです。Coupaを利用いただくことで、ソーシングから支払いまでのプロセスがすべて電子化されるとともに、サプライヤーさんとの取引を円滑にし、その状況は随時ポータル上で管理できます。
押久保:どのくらい利用されているのですか?
小関氏:Coupaは現在、全世界で2,000以上の顧客、500万以上のサプライヤーに利用されています。そして、2.5兆ドル以上の支出が、Coupaのシステム上で管理されています。
押久保:コロナ禍でサプライチェーンは寸断され、世界中の企業の中長期計画は崩壊状態となりました。経済社会の不確かさは増し、変化は加速度的に起きています。
小関氏:おっしゃるとおりです。先行きが見えづらい状態であればあるほど、企業はこれまで通りの右肩上がりの売上計画を立てることは難しい。レジリエントな企業経営を行うにあたり、サプライチェーンの再構築と支出の最適化はどの企業にとっても急務でしょう。たとえば、一般的に企業の総費用の10〜15%程度が間接材コストといわれています。つまり、企業の利益率にもよりますが、売上が1,000億あれば、そのうち100億円程度が間接材コストとなるわけです。
押久保:ちょっと減らせば1億や2億の利益がでそうです。
小関氏:私はこれまで、同じIT業界の中でも、マーケティングや営業活動を通じて売上高を増やすことに貢献するソリューションを経験してきました。最初バックオフィスのソリューションはセールス&マーケティングのソリューションと比較して、少し地味な印象がありました。しかし、このBSMという領域は、営業・マーケティングと同じか、それ以上に会社の利益に即座に貢献できるソリューションだと確信しています。
押久保:「足し算」の発想ではなく「引き算」の発想ですね。
小関氏:引き算をして利益を生み出す。引き算が適切かどうかを判断する際にBSMは強さを発揮します。そして、そこで生まれた利益を戦略的に投資することで、企業は強くなっていきます。
押久保:小関さんは、セールスフォース、マルケトなどを経てジャパンクラウド、そしてCoupa代表に就任されました。セールスフォース、マルケトともにフロントオフィス側、Coupaはバックオフィス側だと思うのですが、代表になった理由についても教えてもらえますか?
小関氏:私は成功する会社には、次の3つ条件があてはまる必要があると考えています。Coupaはその3つの条件を備えていると感じ、参画したいとなりました。
小関氏の「成功企業3つの原則」
- そこにお客様の大きなニーズ/マーケット(ポテンシャル)がある
- それを解決する能力があるよいプロダクト/サービスをもっている
- そしてお客様やパートナー、コミュニティから愛される会社である
Coupaはこの条件を備えています。日本でも間違いなくお客様に受け入れていただだけ、すごく伸びるだろうと感じています。
[※1]コロナ禍、経費7兆円減 テレワークで出張・交際費絞る,日経新聞電子版