DX推進に欠かせない「経営トップのメッセージ」と「データ仮想化」と「アジャイル思考」とは?
ゲスト:株式会社ジール 石家 丈朗氏、株式会社データ総研 藤生 尊史氏
DX推進に欠かせない経営トップのメッセージ

──ジール石家さんにも、今まで支援した事業会社のDX推進の成功要因から、今後DXに本格的に取り組む企業でも活用できる知見をお聞きできればと思います。
石家 丈朗氏(株式会社ジール ビジネスディベロップメント部 上席チーフスペシャリスト、以下敬称略):多くの企業では、IT担当者が現場からのリクエストを受けて手作業でデータを集めてレポーティングする、といった“バッチ処理的”なデータ活用が行われています。人が介在しているから当然ミスも起こりますし、どこでミスが起きているかも分からない。なおかつ、ものすごく労力が掛かるため、情報システム部門の本来の業務も滞ってしまうという課題がありました。
DX推進に成功する事業会社は、経営トップの大号令で始まることが多い。その際にポイントとなるのは、「失敗の許容」と「スピードの重視」をメッセージとして出すことです。これはどの企業にとってもそうですが、DX推進には必ず「初めてのこと」が多く存在します。初めてなのだから、当然失敗もあります。その失敗を恐れていては進むものも進みません。
「経営トップの大号令」というトップダウンのアプローチの後に、実際に基盤となるデータ活用のためのデジタルプラットフォームを構築することになるのですが、構築するにあたっては次の4つの方針が参考になると思います。
1つ目は、小さいデータベースをいくつも作るのではなく、誰もが必要な時に一箇所から必要な情報が取れるという、全社的なプラットフォームを作ること。2つ目は、システム化してもそこに人が介在するのでは結局人為的なミスや負担は減らないので、現場のセルフサービス化を促進し、人が介在せずに済むプラットフォームにすること(情報システム部門の負荷軽減)。3つ目は、極力データの複製はしないこと。コピーを繰り返している間に正確性が損なわれるのを防ぐためです。そして最後に、セキュアでガバナンスの効いた「使える」データにすること。
大林組様は「データウェアハウス」と呼ばれる、散在しているデータを一箇所に物理的に統合するプラットフォームも検討されていました。ですが、様々な種類のデータがありますし、その量も膨大です。その後のメンテナンスのことを考えても「データウェアハウス」は非現実的でした。では、何か別の方法はないのかということで模索した結果、たどり着いたのが「データ仮想化」という手段でした。
大林組の事例詳細をまとめた資料は最終ページでもダウンロード可能です
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栗原 茂(クリハラ シゲル)
株式会社翔泳社 ビズジン編集部 編集長
株式会社翔泳社にて、出版流通の営業を13年、直販部門の立ち上げにて、大学・企業向けの書籍制作・販売、ソフトウェア販売の営業を3年、ビジネス書マーケティングを1年経て、Biz/Zineの前身であるBizGene(ビズジェネ)を立ち上げる。2014年11月にBiz/Zineを立ち上げて、コンテンツ・プロデューサーに就任。ビジネスメディアの編集企画を起点に、オープン研修講座であるビズジェネ・ワークショップ、セミナーシリーズであるビジネスブック・アカデミーや、Biz/Zine Dayの責任者。イノベーション領域でのメディア企画、研修・イベント企画に一貫して取り組む。2017年4月よりBiz/Zine編集長。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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鈴木 陸夫(スズキ アツオ)
フリーライター。川のほとりで家族と一緒にのんびりしながら、1日4時間労働で心地よい暮らしを探求中。趣味は人の悩みを聞くこと、「当たり前」を解体・再構築すること。お仕事のご依頼はフェイスブックメッセージなどでお気軽に。
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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