SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

業務改善のためのビジネスプロセスマネジメント入門

ビジネスプロセス モデリングのための基礎技術

第5回

ビジネスプロセス マネジメントのためにビジネスプロセスを定義することをビジネスプロセス モデリングと呼びます。ビジネスプロセス モデリングでは、あらかじめ決められた言語や記法を用いてビジネスプロセスを定義していきます。これらの言語や記法はペトリネットやオートマトンといった基礎的な技術に基づいて定義されています。また、言語や記法を定義するためにメタモデリングという技術が用いられます。第5回はこれらの基礎技術とビジネスプロセスの関係について説明するとともに、メタモデルについても簡単に説明します。

はじめに

 ビジネスプロセス モデリングでは厳密に定義された記法や言語を用いるという話をしてきましたが、実際にはどのような記法や言語を使うのでしょうか?

 これまでに、ビジネスプロセス モデルのために数多くの記法や言語が提案されていますが、これらは、ペトリネットやオートマトン、もしくは、プロセス代数といった技術に基礎を置いています。具体的な記法の話に入る前に、これらの基礎技術について少し触れておきます。

ペトリネット

 ペトリネットは、プレースとトランジションという2種類のノードを持つ二部有向グラフです。ノード(頂点)とアーク(辺)から構成される図形をグラフと呼びますが、その中でアークに方向があるものを有向グラフと呼びます。一般的な有向グラフではノードの種類は1種類ですが、ノードの種類が2種類のものを二部有向グラフと呼びます。ペトリネットは二部有向グラフです。

 通常、ペトリネットでは、プレースを円で表し、トランジションを箱や棒で表します。また、プレースとトランジションは有向アークで接続されます。アークは、プレースからトランジション、または、トランジションからプレースへ接続され、プレースとプレースやトランジションとトランジションが接続されることはありません。プレースには0個以上のトークンが置かれます。通常、トークンは黒い小さい丸で表現されます。図1にペトリネットの例を示します。この図では、プレースを円で、トランジションを縦棒で表しています。また、左端のプレース内にある黒丸がトークンを表しています。

図1:ペトリネットの例
図1:ペトリネットの例

 ペトリネットでは、あるトランジションに入ってくるアークがある場合、そのアークの元にあるすべてのプレースにトークンが置かれたときに、トランジションは発火可能となります。そしてトランジションが発火すると、そのトランジションから出て行くアークの先にあるすべてのプレースにトークンが置かれます。このようにして、初期状態で配置されたトークンが次々伝播することにより、次々と状態が変化していきます。図2は、簡単なペトリネットにおけるトークンの推移を表しています。

図2:ペトリネットの振舞
図2:ペトリネットの振舞

 ペトリネットではこのような単純なルールで振舞を定義することができます。このように、ペトリネットを用いるとなんらかの振舞を表現するためのシンタックスとセマンティクスを単純かつ明快に定義することができます。

 UMLのアクティビティ図は明示的なプレースを持ちませんが、アクティビティをトランジション、アクティビティと入力フローの接点をプレースと捉えることによって、ペトリネットとして解釈することができます。

 また、ペトリネットのトークンをビジネスオブジェクト、トランジションをアクティビティ、プレースをアクティビティ待機状態と解釈することによって、ビジネスプロセスを表現することができます(図3)。

図3:ペトリネットによるビジネスプロセスの表現
図3:ペトリネットによるビジネスプロセスの表現

次のページ
オートマトン

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業務改善のためのビジネスプロセスマネジメント入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

竹村 司(タケムラ ツカサ)

日本アイ・ビー・エム(株)
エンタープライズ・アーキテクチャー&テクノロジー
シニアITアーキテクト

1986年日本アイ・ビー・エム(株)入社。以来、種々のインダストリー向けアプリケーションソフトウェアやソフトウェアコンポーネントの開発に従事。現在はサービス事業において、お...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/1493 2009/06/09 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング