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Snowflake「Data Drivers Awards」受賞者インタビュー(AD)

「日本もデータシェアリングへ舵を切る」――なぜインテージはSnowflake導入の先駆者となったのか

Snowflake「DATA EXECUTIVE OF THE YEAR」:インテージテクノスフィア 取締役 CTO 秦一雄氏

 インテージは、アジアNo.1のマーケティングリサーチの企業グループ。同グループをITで支えているのが株式会社インテージテクノスフィアだ。同社で取締役 CTOを務めている秦一雄氏が、Snowflakeが主催のアワード「DATA DRIVERS AWARDS」において、「DATA EXECUTIVE OF THE YEAR」を受賞した。今回は、日本におけるSnowflake導入の先駆者ともいえる同社の取り組みをはじめ、データ活用の展望について秦氏に訊ねた。

日本法人がない段階からSnowflakeを見つけ積極的に活用

 インテージは、アジアNo.1のマーケティングリサーチの企業グループだ。インテージグループでは主に消費財・サービス向けおよびヘルスケア向けのマーケティング支援事業、システムインテグレーションを含むビジネスインテリジェンス事業を行っている。そして、株式会社インテージテクノスフィアは、グループのIT会社であり「データを活用して顧客のビジネスに貢献する仕事をしています」というのは、インテージテクノスフィア 取締役 CTO 秦一雄氏だ。

 秦氏は、株式会社インテージのリサーチシステム構築における全体責任者の立場であり、同時に外部企業向けのDX支援なども担っている。

 世の中のデータが爆発的に増えており、社内にある様々なデータは分散し、どうしてもサイロ化(孤立化)してしまう。特に大企業は事業部ごとに予算を執行し個別最適化したシステムを作りがちで、データは分散する傾向にある。そのため「分散するデータを統合してどう活用できるようにするのか、というニーズが数多くあります」と秦氏。そのニーズに応えるのが、インテージテクノスフィアの仕事だという。

 さらにこれからは、1つの会社が持っているデータだけでは活用の限界とも指摘する。「各社のデータを統合し活用する必要があり、それを実現しようとするのがSnowflakeのデータシェアリングの考え方です。これは欧米で先行していますが、日本もその方向性へと進むと考えています」と秦氏。データシェアリングについては、Snowflakeと一緒に実現していきたいと考えているともいう。

インテージテクノスフィア 取締役 CTO 秦一雄氏
インテージテクノスフィア 取締役 CTO 秦一雄氏

 データの利活用の取り組みについて、インテージテクノスフィアでは長期にわたって継続的に取り組んでいる。今回受賞につながったのは、Snowflakeの機能を活用しただけでなく、顧客のビジネス課題を解決できるようにしたことだろうと秦氏はいう。グループ会社のインテージでは、顧客のマーケティング活動を支援するために「パネルデータ提供・分析システム」を提供しており、数年前に大規模なリニューアルに取り組んでいる。

 「当時を振り返ると、扱うデータ量がかなり増えており、データの粒度もさらに細かくなっていました。高い精度で市場を分析するための高度な分析ロジックも必要でした。さらに性能要件としても、かなり高いものが求められていました」とリニューアルのポイントを説明する。

 インテージテクノスフィアではこれらの要求を満たすために、2年かけデータ分析のための基盤を探した。いくつかの基盤のPoC(概念実証)を実施したが、なかなか要件に見合うものが見つからなかったという。さらに、アクセスピーク時の性能要求を満たすためには、コストがかなり増える。

 「正直、お手上げ状態でしたが、2019年の夏にSnowflakeに出会いました。メンバーが名前だけは聞いたことがあるような状態でした。まだ日本語の情報もなく、英語の資料には『性能は無限大、維持管理費はゼロ』と記載されていました。『それは本当なのか?』とSnowflakeの米国本社に問い合わせるなど、情報収集を始めました。そして、過去の経験上からもSnowflakeのアーキテクチャなら確かに期待できると確信できました」と秦氏。

 その後、SnowflakeのPoCを行い、要件を満たせることを確認すると採用を決定。「Snowflakeを採用した新しいシステム構築のため度重なる困難に出くわしたが、メンバーと共に困難の局面を乗り越えてシステムリリースを完遂した」と秦氏は語る。たとえば、同時アクセスのスループットは要求の2~5倍出ているだけでなく、ピークとボトムの利用でインフラキャパシティの最適化が可能となり、3割以上のコスト削減も実現している。秦氏は、このリニューアルのプロジェクトで基盤を探すところからPoCによる検証、さらにユーザーとなる社内の各部門との調整などすべてに携わってきた。このリニューアルの成功が評価され、今回のアワードの受賞となったわけだ。

大規模ユーザーの同時アクセスにも十分な性能を発揮

 Snowflakeは高い性能を発揮できるが、チューニングによりさらに性能を向上させることができる。当時は、Snowflakeの日本オフィスがないだけでなく国内事例もないため、チューニングはSnowflake本社の支援を受けながら進めることとなる。もちろん、試行錯誤の連続で苦労することもあったが、現在では期待以上の性能で安定稼働しているという。

 他のデータウェアハウス製品と異なり、Snowflakeはストレージとコンピュート部分が分離したアーキテクチャになっている。これはかなり斬新なものだと秦氏は指摘する。Snowflakeの良さは、このアーキテクチャに由来する部分も大きい。

 これは秦氏だけでなく、チームの他の技術者メンバーも同様の感想をもっている。また、インテージテクノスフィアでは様々なシステムでクラウドを利用。Snowflakeも同じクラウドで動くため、それらのシステムとの連携もスムーズにできると評価する。

 企業には様々なデータがあるが、活用できていない現状もある。まず、分散しているデータの統合と分析基盤が必要である。それを実現するには手間とコストがかかる。データから得られる価値以上の投資はできないため、なるべくコストを抑えて対応しなければならない。それを実現できるのがSnowflakeだと秦氏は述べる。

 これは多くの会社で求められていることであり、今後インテージテクノスフィアでは、Snowflakeを使ったデータ統合による新たな価値を、顧客が得られるようにする取り組みを推進していく。

新たなビジネス展開としてデータシェアリングにも期待

 「Snowflakeをデータウェアハウスの製品だとするのは、狭い定義だと考えています。データクラウドであり、データ活用の仕組みそのものになっているからです」と秦氏。さらにシェアリングの機能を使うことで、会社間でのデータ共有も簡単にできる。そのためインテージテクノスフィアでも、インテージグループが持つデータを加工し、顧客と共有することを考えているという。

 Snowflakeのデータ共有の仕組みでは、データをコピーして渡すのではない。データは1ヵ所に置き、安全に外部からも見られるようにして共有する。データシェアリングすることで、さらにデータの価値が高まる。日本でもこの需要は絶対にあるはずであり、今後のビジネスとしても期待できるところだ。

 そしてデータ活用のためには、データの整備が重要になる。これはたとえば、Snowflakeにデータを入れる前にデータを収集、加工し、クレンジングして綺麗なデータにすることだ。とはいえ、一般的には、データの整備には手間と時間がかかる。「Snowflakeが優れていても、整備していないデータを入れただけでは、価値ある結果は出てきません」と秦氏。このデータ整備の領域も、インテージテクノスフィアが最も得意としているところなのだ。

 さらに、データ活用の現場で必要とされるデータサイエンティストはそれほどたくさんいない。データ活用を組織の中でさらに進めるために、高度な人材育成、外部サービスの活用による“データ活用の民主化”も必要になる。SnowflakeデータクラウドのAIサービス強化に秦氏は期待を寄せて、「より幅広く、効率的にデータを活用できるようにするためには、AIの技術が必要になります」という。

 今後企業などがDXを進める際に重要なのは、デジタルテクノロジーを導入することではなく、課題を解決することだ。売上を向上させる、市場シェアを拡大させる、コストを下げるなどの課題を解決するためにテクノロジーを利用する。課題を解決するには、顧客の業務プロセスを理解できなければならない。業務プロセスを理解し課題を解決していけば、その過程は必然的にDX(デジタルトランスフォーメーション)になるはずだと指摘する。

 そしてDXの過程において、Snowflakeには技術、性能面で大きな優位性があり、DXのためにばらばらなデータを統合して活用するためことにもマッチするIT技術だ。秦氏は、「Snowflakeは、課題解決を安いコストで実現できるだけでなく、維持管理も安価に済みます。今後もSnowflakeなどの先進技術を活用して、顧客の課題解決に努めていきたい」というのだった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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