ツィカキスCEOが見据える4つの戦略の柱
ツィカキス氏はサイトコアのCEOに就任後、早々に新成長戦略の柱として以下の4つを据えた。
- SaaS企業の買収
- 技術イノベーションの加速
- 人員の増強
- 日本及び中東市場への投資強化
この戦略の一環で、サイトコアは2021年3月にCDP(Customer Data Platform)製品を提供するBoxever、4月にコマース製品のFour51、5月にMA製品のmoosend 、9月にAI搭載の検索処理製品のReflektionと、4つのSaaS企業を買収している。買収で重視したのは、他社製品との連携性を高めるテクノロジー領域の強化であり、具体的にはマイクロサービス、APIファースト、クラウドネイティブ、ヘッドレスが該当する(図1)。
これまでのサイトコアは、顧客体験提供のインフラとなるCMS(Content Management System)を中心に企業のマーケティング活動をサポートするソリューションを提供してきた。コンテンツ管理のニーズは依然として大きいが、すでに他社のCMS製品を導入している場合も多い。CMSに限らず、インフラソリューションは置き換えにくい性質があるが、他のソリューションを組み合わせる拡張ニーズは確実に押さえたいところだ。
実際のところ、マーケティング部門が必要とするテクノロジーは多種多様であり、現在の市場環境ではスイートとして包括的にテクノロジーソリューションを提供できるベンダーは存在しない。企業側も最初はスモールスタートで最低限の仕組みを整え、その後の施策の高度化に即して、随時ソリューションを拡張することが現実的という事情もある。
米調査会社のガートナーは、「2023年までに60%の企業が新しいアプリケーション投資にコンポーザビリティを求めるようになる」と予測している。この拡張ニーズに応えるには、すでに企業が導入している製品との連携が容易なアーキテクチャーでなくてはならない。自社製品を中心とするソリューションを拡充しつつ、一部の製品だけの導入も可能にするには、APIで製品間の連携ができるSaaSを中心に製品ポートフォリオを変えることが必要になる。
ガートナーは、「コンポーザビリティを確保することで、新機能を80%早く実装できるようになる」とも主張している。SaaSであれば、運用しながらのアジャイルな拡張も容易に対応できるわけだ。「今までの製品提供を止めるのではなく、『コンポーザブルデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)』を戦略的に推していきたい」と、サイトコア製品のプリセールスを担当する原水氏は意気込む(図2)。