タレスは、ソフトウェアの配信とエンタイトルメント管理の状況が変化していることを受け、世界400社以上のISVおよびIDVを対象に調査を実施。「State of Software Monetization Report(2022年)(ソフトウェアライセンシングの利用がもたらす変化への対応)」を発表した。
調査の結果、ソフトウェアベンダーの約4分の3(74%)がクラウドを経由したSaaSの配信が増加すると予想。そのうち3分の2(66%)がオンプレミスとクラウドの両方を用いるハイブリッド型のソフトウェア配信が増加すると予想していることが明らかになったという。
SaaSのようなアプローチから得られる大きな利益としては、顧客価値の向上(34%)、収益機会の増加(30%)を抑え、ユーザー体験の向上(40%)が最も重要であるとしている。しかし、デジタル化の推進は、ソフトウェアのライセンシングとエンタイトルメントに関して、ベンダーが大きな課題を抱えていることも意味するという。実際に調査対象者の40%が、複数のデバイスにまたがり自社のソリューションをライセンシングする際に問題が生じたことがあると答えており。同じく40%が展開先の環境の違いに苦慮していると回答。また、3分の1以上(37%)が、リモートで仕事をするユーザーの増加によりサポートが困難になっているとしている。
コンプライアンスと不正使用がベンダーのコスト負担に
ISVとIDVは、過去1年間に使われた自社のソフトウェアの4分の1以上が非正規品であったと推定。調査対象となったほぼすべてのベンダー(90%)が、ライセンシング契約違反が収益に直接的な影響を与えており、自社のソフトウェアが不正利用や改ざんされたり、違法コピーされたりすることを懸念しているという。
同プロダクトエンジニアリング&サービス部門ソフトウェアマネタイゼーション担当副社長 ジェイク・フォックス(Jake Fox)氏は、「顧客の様々なニーズに対応するために、ベンダーが柔軟なライセンシングおよびエンタイトルメント管理を提供する必要があることは明らかです。デプロイメント、パッケージング、そしてエンタイトルメント管理により多くの選択肢を求める声が高まっている状況を活かすために、ベンダーは新しいテクノロジーに投資し、様々な方法でソフトウェアを提供できるようにしておく必要があります。激化する競争の中では、柔軟なエンタイトルメントで道を切り開けば市場シェアを拡大できる一方で、手をこまねいていては取り残されてしまうリスクが生じます」と述べている。
データ活用が収益向上のカギに
ベンダーの半数以上(54%)が、ビジネスインテリジェンスのためのデータ活用をさらに拡大することを計画。ベンダーが利用しているデータポイントは、機能の利用状況に重点を置いており、ユーザーが特に求めている機能(43%)、ほとんど利用されていない機能(41%)、一部が頻繁に利用され一部はほとんど利用されていない機能(41%)などに分かれるという。
フォックス氏は、「データはあらゆるビジネスの成功に不可欠なものですが、適切に使用されなければ意味がありません。データは将来の製品開発のための基礎となり、顧客が実際に使用している領域への投資を可能にします。さらに、ソフトウェア成長戦略の下支えとして、顧客のニーズに合わせてリアルタイムでエンタイトルメントや契約、パッケージングを調整し、投資に対するリターンを最大化することができます」とコメントしている。
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