横河電機とJSRは共同実証実験を行い、世界で初めてAIが化学プラントを35日間自律制御することに成功したと発表した。
本実証実験では、蒸留塔の留出物の品質や液面レベルを適切な状態に保ち、かつ排熱を熱源として最大限に活用するという条件をAIが満たし、品質の安定化、高収量、省エネ制御を実現。
これにより良品のみが生産されるようになり、規格外品が発生することによる燃料や人件費等の損失、時間的損失につながったという。
今回、制御で使用したAIは、2018年に横河電機と奈良先端科学技術大学院大学が共同開発。これはIEEE国際学会にて「プラントへ活用可能な強化学習技術」として世界で初めて認められたFKDPP(Factorial Kernel Dynamic Policy Programming)というアルゴリズムとのこと。
既存の制御手法(PID制御・APC)では自動化できなかった箇所に適用でき、「品質と省エネの両立」のような相互干渉する目標に対応できるなどの強みがある。
プラントはPID制御やAPCで「自動化」していても、一時的な降雨などにともなう急な外気温の変化に対応するためなどの理由で自動制御を中断し、熟練運転員が自ら設定値や出力値を変更しなければならない場合も多くあるとしている。
こうした手動介入せざる得ない状況を、高いレベルの安全性を担保したうえで、少ない手間で、どのように自律制御に移行できるかが現場の大きな課題に。今回の成果は、この長年の課題を解決していく道筋が開けたことを示しているという。
両社は今後も協力して、プラントでのAIの活用方法を検討していくとのことだ。
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