トヨタ自動車は、Scalarと、知財DXプラットフォーム「Proof Chain of Evidence(PCE)」をMicrosoft Azure上に構築し、試験運用を開始した。
今回開発したPCEは、Scalarが提供する分散型台帳ソフトウェア「Scalar DL」の改ざん検知機能を利用して、電子データの証拠保全を行うシステム。記録した電子データに対して、以下の証明を行うという。
- 電子データがいつ存在していたのか(WHEN)
- 電子データがどの順序で存在していたのか(SEQUENCE)
- 電子データが存在していた時点から、これまで改ざんされていないのか(WHAT)
- 上記について10年を越えて証明する(LONG-TERM)
さらに、このScalar DL自体が改ざんされていないことを証明するために、Scalar DLの証拠に対して、各国の裁判所が認めるトラストサービスを用いて、定期的にタイムスタンプを付与。PCEでは、上記の情報を日本、中国、欧州、米国で、裁判の証拠として提出できる形で保全するという。
また、同システムはMicrosoft Azure上に構築。そのため、今回導入したトヨタ自動車の既存のデータ保管システムをそのまま利用しつつ、PCEと統合して運用できるという。合わせてMicrosoft Azureが提供するマネージドサービスを利用することで、認証基盤との連携や、データのバックアップ、リカバリも可能だとしている。
トヨタ自動車は、PCEの最初のユースケースとして、発明に対する先使用権の証明のための電子データの保全から取り組み始めているという。次の段階では、外部企業と共同研究開発を行う際に問題となる、ノウハウを含む知財のコンタミネーション(複数の企業の知財が混ざってしまい、どちらの知財なのかがわからなくなる状態)の回避に利用予定だとしている。
今後3社は、トヨタ自動車のグループ企業や取引先企業にも同システムを展開するという。
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