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「運用こそDXの要」 年間9,000時間の工数削減を実現した好循環を作り出すには

システム運用の自動化を進めるフィックスポイント 代表取締役 三角氏が説く

年間9,000時間の工数を削減した「好循環」になる第一歩とは

 DXを進めていくには運用を変えていく必要がある。しかし、従来のやり方しかしていないと「運用でエンジニアリングとか、うちの現場では未経験だからできないのでは」と考えてしまいがちだ。三角氏は「サポートすれば前進できる人を探すことが重要と提案する。

 これは三角氏の現場との関わりから得た確信でもある。企業の上層部は「うちのメンバーでは無理」と考えがちだが、実際に現場と話をすると「こういう風に改善したい」とアイデアを持っていたり、「自分もフルスタックエンジニアになりたい」などの声を聞くという。とはいえ自ら発信する運用担当者は多くないので、信頼関係を築けるような環境を整えて、本人の意向を引き出していく必要はあるだろう。

 ただし、もしいたとしても「じゃあ、よろしく」と丸投げはよくない。自力でできずに潰れてしまうかもしれないからだ。


「きちんとサポートして、前進させていくこと」と三角氏は念を押す。従来型の運用ではなかなか声を上げにくい体質があることも考慮しておくべきだろう。運用はミスしたら叱責されるので、冒険しにくい。

 小さな改良の積み重ねからやっていくのがよさそうだ。小さな自動化を実践してみて、成果が出たら評価し、共有していく。たとえば監視のアラートが発報されたら、障害対応を自動通知するなど。実際にうまくいくことがわかると、周囲でも「じゃあ私も」と新しい一歩を踏み出す人が増えてくる。誰かが動けば周囲も徐々に動き出して、改革が加速していく。三角氏は「最初に動く人、サポートすれば前進できる人を探す。これが大きな鍵となります」と言う。

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 参考として三角氏はアメリカの心理学者エドワード・デシ氏の研究を簡単に紹介した。人間が内的なモチベーションを高めるには3つの欲求があるという。まずは「自律性の欲求」。自分の意思で自由に決めた結果で効果が得られると、自由に選択するようになる。次に「有能性の欲求」。結果が出ると自分の有能性に気づき、その自信からさらなるステップアップをしようと考える。そして「関係性の欲求」。顧客や同僚など誰かのために何かをしたいということも動機となりうる。これらの3つを理解した上で、うまく回していける組織の形を考えていくのもいいだろう。

 運用の自動化を進められている成功事例を見ていこう。オージス総研では、運用オペレーターの定型業務をフィックスポイントのKompiraで次々と自動化している。現在では年間9,000時間の工数削減を実現し、空いた時間はオペレーターが自動化エンジニアになるための教育に費やし、自動化や効率化の好循環ができている。

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 NTTコミュニケーションズでも同様に現場の熱意で自動化が進み、運用効率向上だけではなくカルチャーの変化としても、大きな効果を得ている。

次のページ
運用自動化を強力に進める「Kompiraシリーズ」の活用

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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