栗田工業と日立は、製鉄所などの原料ヤード管理のDXに向け、本格的な協創を開始したと発表した。
今回の協創では、栗田工業が有する原料改質技術のノウハウや製鉄所のプロセスに関する豊富な知見と、日立のドローン活用技術やAIによるデータ解析技術・ノウハウを掛け合わせ、新たなソリューションの開発を両社で推進していくとしている。
具体的には、船から荷揚げし山積み保管する製鉄所の原料ヤードにおいて、ドローンに搭載した水分センサーにより原料パイル(山)ごとの水分を測定し、データを収集して広大な現場の状況を可視化する。
そして関連する気象データと組み合わせてクラウド基盤上でAI解析を行い、蒸発や降雨にともなう原料の水分変動を予測。原料の粉塵飛散や焼結工程・コークス工程などの後段設備への影響を事前に把握できるようになることで、水分に起因する様々なリスクの管理が可能となるとしている。
水分に起因するリスクを可視化することで、原料改質技術をタイムリーに適用することができるほか、製鉄所における生産性の向上や安全性の改善、さらには後段設備における燃料の使用量低減によるCO₂排出量の削減に貢献するという。
今後実用化に向け、原料の水分の変動を予測するアルゴリズムを共同で開発するとともに、国内の製鉄所を対象に実証を推進し、将来的には、異なる業種への適用やグローバルへの展開も検討していくとしている。
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