ServiceNow Japanは10月4日、同社のプラットフォームであるNow Platformの最新版のリリースを発表した。今回のアップグレード版は「Tokyo」と名付けられ、エンゲージメントや生産性向上、インテリジェンス強化、ビジネス価値実現の3点がコンセプトとなる。会見では、目玉となる「ESG Management」のデモが紹介された。
プラットフォームの新バージョンは「Tokyo」
Now Platformはこれまで年2回(Q1.Q3)をベースにアップグレードを行ってきた。今回は2022年の1Qの「San Diego」に続くリリースとなる。
「東京という都市名が使われたこともあり、日本法人としては全社を挙げて、製品のローカライズや製品のエンハンスメントをおこなっていく」と同社 執行役員の原智宏氏は意気込みを語る。リリースの主な特徴と強化されたモジュールは以下となる。
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Manager Hub:従業員の生産性やエンゲージメントの向上を支援するための従業員ポータルであるEmployee Centerの一機能となる。管理者は従業員に関するプロセスやリクエストを一元管理することができ、管理者がリーダーとして成長することを支援するためにパーソナライズされたリソースとトレーニングも提供する。
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Admin Center:システム管理者がセルフサービス形式でServiceNowソリューションを簡単に検索、インストール、設定することができる。Tokyo リリースで新たに追加されたAdoption Blueprintは、管理者がインスタンスの成熟度にもとづいてアプリケーションの推奨や、アプリケーション権限の可視性向上、アプリケーションの簡単なインストールと構成などを、すべてインスタンスアプリケーション内から行うことができるガイド付きエクスペリエンスを備えている。
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Issue Auto Resolution for Human Resources:IT Service Management で提供するIssue Auto Resolution の機能を、人事部門での利用に拡張するもの。自然言語理解(NLU)により、従業員からの依頼や問い合わせ内容を分析し、Microsoft Teams、SMS、電子メールなどのチャネルを通じて、従業員の状況に応じたセルフサービス・コンテンツを解決策として提供する。また、緊急の人事案件を特定し、より高度なサポートが必要な場合には、担当者に直接転送する。
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ServiceNow Vault:柔軟性のある鍵管理とデータ分類を使用してデータの匿名化を促進する。また、ネイティブプラットフォームの暗号化により、機密データを保護し、規制コンプライアンスを向上する。さらに、マシンの認証情報の管理と保護の複雑性を排し、MID サーバーに展開されるコードの信頼性と整合性を検証し、悪意のある侵入がないことを保証することで、プラットフォームのセキュリティを強化し、ServiceNow のシステムとアプリケーションの大容量のログをほぼリアルタイムでサービスとしてエクスポートすることを可能にする。
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Environment、 Social、and Governance(ESG)Management:単一のエンドツーエンドソリューションで、企業がESG目標およびKPIの設定と文書化、パフォーマンスの追跡、監査対応データの収集と検証、主要ESG報告フレームワークに沿った情報開示の作成ができるように強化されている。主な機能として、温室効果ガス(GHG)排出量を計算するカーボンアカウンティング(炭素会計)や、企業がESGデータに対し増大する要求に効率的に対応するために収集した全メトリクスのみならず、とりわけ重要で対応が必要となるメトリクスを一元管理するダッシュボードも含まれる。なお、ServiceNow は、DXC Technology、Emissionsbox、KPMG、LTI、Mindtree、 NTTデータ、RSM US LLPと協力し、ESG目標管理市場への参入と機能拡張に取り組んでいる。
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Enterprise Asset Management(EAM):ヘルスケアや、金融サービス、小売、製造、公共など多岐にわたる業界において、業務に必要となる、物理的な資産の利用計画から廃棄までの全ライフサイクルを自動化するもの。EAMにより、企業の資産全体を可視化することで、コスト削減や、リスク軽減、戦略的プランニングの改善を実現する。
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Supplier Lifecycle Management(SLM):サプライヤーとのやりとりを従来頼っていた電子メールやスプレッドシートからデジタルでのやりとりに移行することで、運用コストを削減し、サプライヤーとの連携基盤をより強固にするために必要な人材があらためて本来の業務に集中することを可能にする。SLMを利用することで、サプライヤーが何か困った時に自身で解決することができ、よくある問い合わせに対応する工数を削減する。
温室効果ガス(GHG)の排出量を算出する「ESG Management」
今回の新機能のハイライトとして「ESG Management」のデモが紹介された。世界的な環境規制の高まりから、CO2の排出削減への取り組みが義務付けられ、ESGへの取り組みは企業にとって最も重要なテーマとなる。この機能は、排出係数と計算対象となる指標を使用して排出量を計算し、監査対応データの収集と検証、主要なESG報告フレームワークに沿った情報開示を作成するというもの。現在では英語の画面だが、2023年の前半には日本語化される予定。
マーケティング本部の古谷隆一氏は「炭素排出量の計算とカーボンアカウンティングは包括的なESG目標管理と情報開示にとって必要となる重要な機能です」と語り、ESGの取り組みのパフォーマンスの可視化のデモを紹介。
毎月の電力消費量や天然ガス使用量の関する指標から、助成金のような社会的影響のある指標、さらには組織内のフルタイムの勤務の男女比率のようなダイバーシティやインクルージョン、月別の電力や燃料使用量のデータを収集し、設定された排出係数から排出量を計算するなど、ESGフレームワークに沿った情報開示を作成するまでの一連の流れが示された。