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知識がなくても仕組みでサイバー犯罪を防ぐ Zホールディングスが始めた、産学官の新たな取り組み

ターゲットは専門家ではなく地域警察官

 2022年7月26日、「サイバーセキュリティ人材の育成に関する産学官連携協定」が締結された。参画したのは、中央大学、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科、Zホールディングス株式会社、大日本印刷株式会社(以下、DNP)、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)、警視庁サイバーセキュリティ対策本部など、日本を代表する企業および大学、警視庁という産学官が揃った。協定締結までの経緯や狙いなど、Zホールディングス GCTSO 企画室常務執行役員付参事 佐川英美氏に取材。佐川氏によれば、昨今問題となっているフィッシング詐欺に対して、地域警察官との連携により、新たなセキュリティ対策への道筋が見えつつあるという。その取り組みとは何か。取材を通し、話を伺った。

Yahoo!きっずの編集からセキュリティ教育へ

──佐川さんの、これまでの経歴と現在のお仕事について教えてください

 元々は子ども向けポータルサイト「Yahoo!きっず」の編集担当で入社し、インターネットに関するリテラシー教育やインターネットを活用した社会課題の解決に取り組んできました。現在はZホールディングスに主軸を移し、青少年のネット利用に関する取り組みを続けつつ、日本サイバー犯罪対策センターさんや警察組織の皆さまと連携してサイバーセキュリティ対策や犯罪抑止をどう推進するか。産学官連携などに取り組んでいます。

Zホールディングス GCTSO企画室 常務執行役員付参事 佐川英美氏
Zホールディングス GCTSO企画室 常務執行役員付参事 佐川英美氏

 当初の子ども向けリテラシー教育は、インターネットを安全に使うために「向こうにいる人を思いやりましょう」などモラル的な話から始まりました。ですがここまで日常生活でインターネットを使うようになると、セキュリティに関するリテラシーも欠かせなくなり、モラルと併せて盛り込むようになっています。

 たとえば自転車なら、子どもの時はガチガチに保護しておいて、大人になると突然「さあ自由にどうぞ」といっても、安全に乗りこなせません。それはインターネットも同じです。子どもの時は大人がある程度配慮して、インターネット社会がどういうものか、子どもが安全に使えるように発達段階に応じてリテラシー教育や体験を通じてスキルを身につけられるように進めています。

 もちろんこういった考えは子どもにとどまらず、ネットを使用するあらゆる層の方にも当てはまります。「誰かに完全に守ってもらう」というよりも、「インターネット社会で生き抜く力を身につけさせる」といった姿勢が大切ですね。

──今回の産学官連携の協定の経緯を教えてください

 一般的に我々(事業者)が発案するケースだと、同業かつ同じ課題感で動いている方々と取り組むケースが多いです。そうなると1対1の関係になりがちで、自分たちと相手との関係で互いに求めるものを模索する形になります。

 ところが今回は警視庁さんが幹事役になり各社へ声掛けがありました。結果、中央大学さんやDNPさんなど、異業種の事業者と大学が参画することが決まりました。この座組はどちらかの立場が上などといったものではなく、互いにフラットな関係です。

7月に行われた産学官連携協定 締結式
7月26日に行われた産学官連携協定 締結式

 たとえば警視庁さんが全てを決めて、それにしたがって我々が動くのではなく、「全体で何をすべきか」、そして「何ができるか」を一緒に議論させていただいています。これまでの産学官とか官民連携とは少し異なる切り口となり、気づきが多くておもしろいですね。

誰もが上でも下でもない、フラットな関係

──今回、Zホールディングスが参画した理由はどういったものだったのでしょうか

 これまで弊社では、様々な形でセキュリティ教育に取り組んできたこともあり、この取り組みは次の新しい切り口のセキュリティ教育や社会課題解決につながるチャレンジになりそうだと考え、参画を決めました。

 弊社では、こういったセキュリティやリテラシーの人材育成は未来に対する投資だと考えています。インターネットを安全に使える知識を持つ人が増えればその環境が健全に発展し、昨今問題となっているフィッシング詐欺やネット犯罪の防止につながり、巡り巡って弊社の健全なビジネス発展にも貢献することになるからです。

 昨今ではインターネットユーザーがインターネットバンキング等の決済サービスを利用することが当たり前となりつつあります。一方でフィッシング詐欺などのネット犯罪も増えており、事業者側や利用者側双方ともにフィッシング詐欺やネット犯罪などのターゲットとなり対策に苦慮しています。

 今回協定を結んだ各組織では、それぞれ脅威を感じている部分、対策や強化が必要だと感じる部分を有しています。同じ社会課題をテーマとした時、それぞれの観点の教育ノウハウや知見を合わせることで、新たな人材育成やトレーニング、シミュレーションができるのではないか。そう考えています。

 そして先日、警視庁さんとMUFGさんと協業して行ったセキュリティ研修で、まさに我々が求めていた、とても意義深い知見を得ることができました。

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セキュリティ研修は専門担当ではなく、地域警察官に

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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