新潟にまつわるデータプラットフォームを着々と構築
データの活用から経済活性化につなげようとしても「そもそもデータがない」ところからのスタートだった。今では新潟に関するあらゆるデータを収集し、利活用できる「越後データプラットフォーム」が動き出している。
格納されるデータはオープンデータやサービス事業者からのデータもあれば、スクレイピングで取得するもの、アナログデータから登録するものもある。データを取得、整備、統合して「ECHIGO DB」というデータベースに蓄積。収集したデータから、データ分析や利活用を行う。
このプラットフォームの特徴は雇用創出だけでなく、育成や教育も盛り込んだ取り組みにつながっているところだ。データ分析のコンペティションにおけるデータサイエンティストの育成、データ利活用における起業家の育成も含めて、新潟大学との共同研究を進めている。
この越後データプラットフォームの活用事例となるのが、子育て世帯向け生活情報アプリ「ガタリコ」。生活情報には地域のゴミ出しの曜日、不審者情報、小学校の給食、バス運行情報、休日や夜間診療の情報、さらに、くま出没情報まで網羅している。育児中の課題解決という観点で、必要とされる地域特有のデータを1つのアプリに集約した。このアプリは地方自治体のデータ活用コンテストとなる「アーバンデータチャレンジ(UDC)2020」で金賞を受賞。遠山氏は「データは使ってみないと価値が理解されません。そのため、まずは価値を提供することにしました」と話す。
アプリを通じて「データの力はすごい」と一定の評価は得ながら、今もまだデータの充実と整備にも取り組んでいる。たとえば、地方自治体のオープンデータには統一性がなく、そのままでは使えないものも少なくない。そこで遠山氏は新潟県のオープンデータをSnowflakeのマーケットプレイス上でも提供するようにした。
「データは串刺しで使うことで、より多くの気づきを与えてくれます。当初はデータを出すことに抵抗感を示す人もいましたが、データは外に出すことでこそ価値が高まります」(遠山氏)
そして、データ利活用のステージにおける課題となるのがアイデア創出だ。データがあったとしても、アイデアがなければ価値は生まれない。そこでハッカソンに近いイベントを開催したこともある。Snowflakeのマーケットプレイスで提供している新潟県三条市のオープンデータを活用して何ができるか、アイデアを出し合った。
たとえば、観光地データを活用して観光ルートをTableauで表示するというアイデア。オープンデータには公衆トイレの情報もあり(和式か洋式の区別まで)、観光地のデータと組み合わせたらどうかなど、データ活用の議論につなげた。こうした取り組みから「データでやれることのイメージがつかめてきた人が増えてきています」と遠山氏は言う。まだ“地域のDX”として見れば入口にあたるかもしれないが、着実にデータ活用に向けて歩みを始めている。
構想から実装まで短期間で進められるSnowflakeは心強い存在
今回「Data for Good」を受賞したことをうけ、遠山氏は「驚いたというのが正直なところです」と切り出す。Snowflakeについては「スムーズに環境を作れることが素晴らしい。今回も着手から公開まで3~4ヵ月です」と迅速なリリースに貢献した点を強調する。
「データの民主化や経済活性化を進めていくためには、新潟に限らず東京も含めて、いろいろな事業データを使うことが必要であり、そうすることで成長が生まれていきます。そしてアイデアが浮かんだとき、短期間で実装できる環境があるとデータ活用は進んでいくと思います」(遠山氏)
新潟での取り組みを通じて遠山氏は「データに対する地方の考え方はまだ弱く、ここを変えることが難しいと実感しました」と話す。しかし、地域の安全や地域で必要とされる情報は何かと考えていくことで、スマートシティのような世界に少しずつ近づいていく。最後に遠山氏は「地域データを活用した街作りをしたく、Snowflakeやこれから登場するテクノロジーでデータを使えば実現していけると思います。ぜひ、みんなで取り組んでいきたいです」と意気込みを見せる。
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