オラクルの挑戦状
ビジネス・トラックの最初のセッションでは、「他社DBユーザー注目!ここまで変わるデータベース・コスト削減、次の一手」と題し、日本アイ・ビー・エム インフォメーション・マネジメント事業部 データ・マネジメント営業部部長の池田高也氏が講演をおこなった。
すでに述べてきたように、今回のDB2の最新バージョンリリースにともなうメッセージは「コスト削減」であるが、その真意は「オラクルへの挑戦状」であることは明らかだ。
その一つが、テクニカルトラックで語られた「PL/SQL」(オラクルの採用するDB言語)との互換をとることで、技術的な縛りをなくすこと。そしてもうひとつが、オラクルの保守やライセンス体系といったコスト構造に対して、より柔軟な料金体系を対置するというものである。
はじめに池田氏は、「ユーザー企業が抱える課題はITコストの問題であるが、ITコストの最大の要因は運用管理である。」と述べ、サーバーやデータベースの運用管理コストがこの10年間で3倍に増大したことを指摘しつつ、直接コストとしてのベンダーと委託内容の見直し、間接コストとしての運用管理の自動化を提唱した。
「お客様が抱えるITコストの課題で特に見逃せないのは、データベースのライセンス費用。現在のオラクルが提供しているデータベースのライセンス費用は、コスト削減の期待に完全に逆行していると言っても過言ではない」と指摘し、具体的にオラクルの場合のCPU単位のライセンス料金との比較事例を紹介した。
池田氏が最初に紹介したのはオラクルの利用形態によって大幅なコスト高になり得るライセンス体系の変更の問題。たとえば8CPU搭載の場合、普段は利用していない「待機系」に対しても本番系と同様のライセンスが必要なため、4130万のライセンンスが倍の8260万かかることになるという。
次に、今回のオラクルの保守ライセンス体系の変更によるシステムのサポート単位の問題である。以前は、平均4CPU搭載の10システムがあり、その内たとえば給与と営業支援という2システムしかサポート契約ですんでいた企業が、2009年の6月以降の改訂で「全システムへのサポート」か「全サポート契約しないか」と二者択一になったため、従来の年間のサポート料に比べ、334万から1673万に増大するケースを紹介した。