アドビ製品ならではの強みやメリット
ここからはより具体的に、アドビで何ができるかについて見ていこう。Adobe Document CloudではPDFを基盤としたドキュメントソリューションを提供しているが、Adobe AcrobatやAdobe Acrobat Signといった製品を使うと文書の作成、管理から署名まで、契約に関わるすべてのプロセスをオンライン上で完結させることができる。印鑑証明で実現していた本人確認、割印で保証していた改ざん防止など、紙で実現していたことはすべて電子署名に代えることができる。
言うまでもないが、データをクラウド上に保存できるため、場所や端末を変えても文書にアクセスできる。急ぎの稟議で上司がなかなかつかまらない時、出先のタブレット、旅行先のスマートフォンからアクセスできれば、ワークフローを素早く回すことができる。そしてクラウドに保存すれば、他のユーザーと共同作業することも可能だ。
また電子化でペーパーレスが実現すれば、先に挙げた印紙税を含め、紙、印刷、郵送、保管に関わるコストを削減することにもつながる。昨今重要となっているESG的観点からも、重要な要素だ。
ただし、書類の電子化や電子署名の機能だけを見るのであれば、アドビ以外にも実現できるベンダーは他にもあるかもしれない。今回話を聞いた、同社営業戦略本部 ドキュメントクラウド戦略部 シニアマネージャーである齊藤賢一氏によると、顧客がアドビを評価するポイントには「安心感」が挙げられるという。
「安心感」とは「遠い未来でも安心して開けること」だ。書類のなかでも契約書となると、長期の保管義務がある。もし契約で何らかの問題が起きて民事裁判となれば、裁判所へ提出する資料となるかもしれない。
こうしたことを考慮して「このシステムで生成したPDFは10年後でも問題なく開けるか?」と考えてみる。その場合、アドビだと「100年後であろうとも、PDFの参照エンジンであるAdobe Acrobat Readerを使うのであれば、Adobe Acrobat Signで出力した契約書はきちんと開くことができると保証できます」と齊藤氏は明言する。
「そもそもAcrobat Readerは我々が提供しているので当然ですが、お客様はこの安心感や安全性を重視しています」