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Data Tech 2022 レポート

日本の「データ駆動社会」実現に向けた現在地──デジタル庁 データ戦略統括 平本氏が語る、推進の鍵と壁

デジタル庁がリードするデータ駆動社会に向けた日本のデータ戦略とは

 EnterpriseZine編集部主催の年次データカンファレンス「DataTech 2022」では、DXの時代に企業がデータドリブンカンパニーになるためのヒントを見つけるための、さまざまなセッションが行われた。デジタル庁 データ戦略統括の平本健二氏は「データ駆動社会に向けた我が国のデータ戦略」と題し、2021年に策定したデータ戦略の進捗、データ利活用の基盤の整備状況と将来展望を紹介した。

デジタル社会では、データを活用できるようにして価値を増大化することが鍵

 20世紀のインフラは道路や橋、区画整理された工業団地、物流網などだった。これら物理的なインフラが整備されたことで優良企業が生まれ、優秀な人材が集まることでさらなる高度成長が支えられた。

 21世紀のデジタル化した社会では、ネットワークやデータが新たなインフラとして重要視されている。インフラにデータの流通環境が加わることで、データ交換が柔軟に行えるだろう。それにより新たなデジタル社会が形成される。

 また、デジタル社会においてもインフラが整ったところに優良企業や人材が集まり、それにより世界中で人材の流動化が起こる。こうした状況を受け、日本でもデータ戦略を策定し“データにこだわった”活動をデジタル庁が主導している。

 2022年には大規模な通信障害が発生し、スマートフォンが使えなくなり困った人たちが大勢出たことは記憶に新しい。スマートフォンが使えないと地図が見られず予定がわからない。これらは、データが手に入らないために起きる現象だ。「データが既に暮らしの基盤となっていて、皆さんがデータの発信者であるとともに利用者でもあります。この関係性の中で、データは生活と切り離せないものになっています」と平本氏は指摘する。

 データは寿命が長く、波及範囲が広い。業務プロセスの変化は早く、1年未満で少しずつ改善を加えることとなる。また、情報システムはハードウェアが5年から10年で更新されるが、データは最低でも100年程利用される。生まれてから死ぬまでの情報である戸籍データは、およそ100年使われるという。加えて、データが注目されるもう1つの理由は、外部との組み合わせで価値が増大するからだ。

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 データの寿命は長くなり、まさに新たな社会基盤となったが利用は国内に閉じていた。それがプラットフォーマーにより世界中でさまざまなデータが蓄積され、それを分析してイノベーションが起きている。そこから高度なサービスが生まれ、さらに利用者が増加し新たなデータが溜まる良い循環も見られる。こうしたサービスは国境を越えるだけでなく、世界中の優秀なエンジニアを引き寄せていき、さらなるイノベーションにつながるのだ。

 もう1つ、『データスペース』というキーワードがある。これは欧州を中心に拡がっているもので、国や国境を越えデータをどのようなルールの元に交換するのかを考えること。「国境を越え経済空間やガバナンス空間をどう作るかの動きでもあります」と平本氏。こうした動きが世界中で始まっており、世界に目を向けないとデータの世界で出遅れる

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誰でもデータをストレスなく活用でき、デジタル技術が暮らしをサポートする社会

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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