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Sansanは名刺管理から営業DXへ、なぜプロダクトの軸足を移して「顧客マスタ」の整備に注力するのか

4つの大きな成果を挙げたNECソリューションイノベータ、その裏には『Sansan Data Hub』

 データから示唆を得て、打ち手に生かす経営に取り組む企業は多い。だが、もし収益増大のような成果が出ていないのだとすると、顧客データの品質を見直してもいいかもしれない。12月8日に行われたオンラインカンファレンス「DataTech 2022」に登壇したSansanの中西勇樹氏は、「営業生産性を向上させる顧客データ活用 ~今あるデータを事業成長につなげる方法とは~」と題した講演を行った。

Sansanが法人営業で活用している「ABMダッシュボード」

 営業生産性を向上させるためのアプローチは1つではないが、コロナ禍を経て法人営業におけるデータ活用の重要性が高まっていることは確かだ。背景にある要因として中西氏は、コロナ禍を経ての「営業各個人が持つ営業スキルの優先度の低下」と「営業におけるデータ活用の重要性の高まり」の2つを指摘する。以前は対面での商談が当たり前だったが、コロナ禍でオンライン形式が中心に変わったことで、顧客の心情の機微を捉えにくくなったことの影響は大きい。顧客理解がオンライン中心になったことで、データを活用し、営業生産性を向上させることがこれまで以上に重要になった。

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 法人営業におけるデータ活用とは、各営業パーソンが「ターゲット企業の誰に、どのような提案をすべきか」を判断するために必要なデータを集め、戦略を立てて実践することである。そのためにSansanが自社で構築して利用しているのが『ABMダッシュボード』である。このダッシュボードでは、企業の基本情報から、これまでの取引情報、役職者との接触、過去の商談履歴などが可視化されている。中西氏はこのダッシュボードを「ターゲット企業の理解を深め、その企業にどうアプローチするかの判断に使っている」と説明した。

Sansan株式会社 Sansan Unit Product Marketing Manager 中西勇樹氏
Sansan株式会社 Sansan Unit Product Marketing Manager 中西勇樹氏

 このABMダッシュボードでは、ターゲット企業ごとに大きく企業情報と接点情報(役職×接点)の2つの詳細を表示する。企業情報では、案件数、提案金額、従業員規模、これまでの契約の有無などが見てとれる。一方、接点情報では接点を持った人物の役職と、接点を持った回数を掛け合わせて数値化している。『接点ランク1』は社長や取締役を示し、数字が大きくなるほど現場の担当者に近づく。たとえば、浅葉建設(架空の企業)には180万円の提案をしているが、営業担当者が名刺を交換した人物の中には役職者が一人もいない。ただし、過去に社内の誰かが役職ランクの高い人物と名刺交換をしたことがあると出ている。これを見た営業担当者は、そのときの担当者から役職者を紹介してもらおうと判断できる。

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 一方、別の例で挙げたATT(架空の企業)については、役職がない人たちとの接点はあるが、マネージャー以上の人たちとの接点はまったくない。この場合、そのまま提案を試みようとするのではなく、同じ業種業態、規模の企業で似た傾向が見られないかを確認してみる方が良いという。同様の傾向があるとわかったら、特定の地域、業界、規模にターゲットを絞ったイベントを開催し、マネージャー以上の人たちとの接点作りを優先してみようと判断できる。アプローチ方法だけでなく、施策の実施判断をする際にもこのABMダッシュボードは役に立つ

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営業活動でのデータ活用を阻害する顧客マスタの問題

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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