ビールを片手にSOAを語り合う
2009年7月23日、米ボストン周辺のSOA、EAコンサルタント達が、恒例のZapThinkフォーラムに参加すべく「M.J.O'Conner's Irish Pub」の一室に集合した。このフォーラムは、SOA、Web Service、EAなどのコンサルティングに携わる人々の相互交流を目的としたもの。一般的なフォーラムと違って飲食店において立食形式で行われるほか、一方的な講義形式ではなく参加者全員が同じ立場で意見交換できるなど独特の工夫が凝らされている。普段は演壇の上でしか見たことのないような著名人とビールを片手に話せる環境が魅力的なイベントだ。
今回は、パネルディスカッションを2回の交流タイムで挟んだ三部構成で催された。ディスカッションには、Manes氏の他にDana Gardner氏(Interarbor Solutions)、Brenda Michelson氏(Elemental Links)、Sandy Rogers氏、Jason Bloomberg氏(ZapThink)、Ronald Schmelzer氏(ZapThink)がパネリストとして参加。さらに、書籍「エンタープライズサービスバス」で知られる米オラクルの副社長兼SOAチーフテクノロジストのDavid A. Chappell氏も飛び入りで加わり白熱した議論を繰り広げた。
今回の主題は、何と言っても米BurtonグループのリサーチディレクタAnne Thomas Manes氏のブログ記事だ。今年の1月1日にアップされたエントリー「SOAは死んだ、サービス万歳」は、同氏が2月3日にインターネット上で行ったSOAの通夜とあいまって大きな波紋を呼んだ。米Enterprise System Journalの「最も影響力のあるITリーダ100人」に選定されたこともあるManes氏の発言とあって、インターネット上ではSOAの今後について議論が巻き起こったのである。
昨年の経済危機によって世界の経済は落ち込み、IT予算が削減されている。このような状況下にあって、IT投資の中でも長期的視点に基づくSOAという概念がもはや前時代的なものとなってしまったのか。それともさなぎが蝶に変態するように、SOAも新たな形に変化を遂げようとしている最中なのか。もし、SOAがすでに死んだ存在であるとすれば、いまだにそれを実践している者は現実を認められない単なるゾンビに過ぎないことになってしまう。SOAに関わる人々の関心が集中しているテーマである。