SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine Day Special

2024年10月16日(火)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine Press

ガートナーに「アプリケーション調達戦略」を訊く、「ペースレイヤーモデル」と「作るか買うか」の意思決定ポイントとは?

Gartner ダニー・ブライアン氏 インタビュー

 ガートナーは2023年6月13日と14日の2日間、「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット」を開催した。そのオープニング基調講演「未来のアプリケーション:さらなる高みを目指して」では、アプリケーション調達における古典的なテーマ「作るか買うか」が取り上げられた。2023年の文脈でこのテーマはどう考えたら良いのか。「ペースレイヤーモデル」「疎結合のアーキテクチャー」「ビジネス部門との関係改善」についてGartnerアナリストのダニー・ブライアン氏に訊いた。

アプリケーション調達のための「ペースレイヤーモデル」とは?

Gartner ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト ダニー・ブライアン氏
Gartner ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト ダニー・ブライアン氏

──アプリケーション調達に関して、基調講演で紹介されていたペースレイヤーモデルが印象的でした。基本的な考え方から紹介していただけますか。

 このモデルはガートナーが10年以上前に提唱したものですが、今日でも同じように適用できると思います。元々の考え方は、1994年に米国の作家スチュアート・ブランド氏が自著『How Buildings Learn: What Happens After They’re Built』で、建築物を表現するために使った概念に由来しています。新しい建物を建てた後、基礎になる土台やその建物の柱の位置を変えることはできませんが、新しいスタイルを求めて、部屋のカーペットやカーテンのような内装、生活に欠かせない家電製品を買い替えることはよくあることです。アプリケーションの調達と管理でも同じことが言えます。そこからペースレイヤーのアイデアが生まれました。

 モデルの目的は、IT業界でシステムに携わる人たちが、変化の必要性やスピードに基づき、システムを評価する方法を理解してもらうことにあります。その構成要素として、まず一番下に「Systems of Record記録のためのシステム)」があります。該当するアプリケーションには、ERPやCRMなどがあります。進化はゆっくりですが、それは変更にコストがかかるからです。また、規制や法制度の影響を受けることが多いことも関係しています。その上に位置するのが「System of Differentiation差別化のためのシステム)」、一番上が「System of Innovation革新のためのシステム)」です。

 ペースレイヤーモデルはアプリケーション調達における「作るか、買うか」の意思決定にも有用です。少ないエンジニアリソースを最も有効に活用できる分野はどこかと考えると、System of Recordにはならない。今日、SaaSの人気が高いのは、SaaSがSystem of Recordを代行してくれるからです。だから、IT部門はSystem of InnovationやSystem of Differentiationのユースケースの探索に力を入れるべきなのです。

図1:ガートナーが提唱してきたペースレイヤーモデル 出典:ガートナー
図1:ガートナーが提唱してきたペースレイヤーモデル 出典:ガートナー [画像クリックで拡大]

──開発方針を示すという意味では、ガートナーは以前からバイモーダルを提唱してきました。ペースレイヤーとバイモーダルの考え方には関連性があるのでしょうか。

 密接に関係しています。バイモーダルは、複数のレイヤーに対して同じアプローチは適用できないと示す考え方です。システムによっては、堅実なウォーターフォールアプローチが向いているものもあれば、イノベーションのためにより俊敏なアジャイルアプローチが向いているものもある。モード1とモード2を使い分けることの必要性を訴えたのがバイモーダルです。モード1にアジャイルを適用しようとしてうまくいかない。逆にモード2にウォーターフォールを適用しようとしてうまくいかない。バイモーダルは、それぞれに適したアプローチは異なると示しました。

次のページ
「イノベーションのためのシステム」と「差別化のためのシステム」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/17944 2023/06/27 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング