創業18年を迎えた今も成長続ける、要因はレガシー移行
──ロビンソンさんは共同プレジデント(Co-President)を務めていらっしゃいます。まずは、現在の職務について教えてください。
私はPeopleSoft、Oracleを経て2010年にWorkdayに入社して以来、一貫してセールス畑を歩んできました。現在は共同プレジデントとして市場戦略、ビジネスの成長、顧客の成功などにおいて責任を負っています。
もう1人、共同プレジデントとして技術と製品のイノベーションを管掌しているSayan (Sayan Chakraborty氏)がいます。Sayanと私の共通項は、カスタマーサクセス=顧客の成功です。これを目標に素晴らしい関係を構築しています。
──WorkdayはクラウドHCM市場などにおける先駆者です。市場の変化をどのように見ていますか。
私が入社してからの13年間で市場は大きく進化しました。設立当初は先行者利益があり、レガシーの競合2社を大きく引き離すことができましたね。
もちろん、長い歳月を経て変化するもの・しないものがあります。市場によってはレガシーベンダーに分がある領域もあれば、我々が強みを発揮できるところもあります。実際に、今でも2社とは競合関係にありますね。Workdayは「HCM」と「Financial Management」を利用する顧客を“コア顧客”と分類しており、現在5,000社を数えます。いかにコア顧客を増やせるか、競合2社とは市場シェアを奪い合う状況が続いているのです。
また、SaaS市場全体に着目したとき、CRMはSalesforceへとほぼ移行が完了しており、HCMは大部分でクラウド移行が進んでいて、Fortune 500の50%強がWorkdayの顧客という状況です。つまり、我々は残る50%弱を勝ち取らなければなりません。グローバルベースでは、Global 2000のシェアは25%程度と、まだまだ成長途中です。
なお、Financial Management(ERP)は、グローバルの20~25%しかクラウドに移行していません。現在、Workdayのフォーカスはここにあり、成長計画において重要な部分を占めています。
──競合他社もSaaS戦略を進めていますね、Workdayの強みはどこにありますか。
競合2社が提供するSaaSに対して、我々の勝率は満足できる結果と言えるでしょう。一方、レガシーシステムと呼ばれる程に市場での地位を確立した企業であり、手強い競争相手でもあります。
Workdayは創業18年、売上高は70億ドル程度ですが、現在でも年間契約額の半分は新規顧客から来ています。これら新規顧客のうち多くは競合2社からのリプレイスです。創業から18年が経つと、新しい市場シェアを獲得するよりも既存顧客ベースの成長に軸足を移していく企業が多い中、未だにリプレイス需要に応えられている。これはとても珍しいことでしょう。
これまではオンプレミスなのか、クラウドなのかが争点でしたが、現在はクラウドを前提とした競争環境下でWorkdayを選んでもらうというフェーズに移っています。こうした状況下においてもWorkdayには明確な強みがあります。
Workdayは「1つのプラットフォーム」「1つのデータソース」「1つのバージョン」という設計思想の下でアーキテクチャを構築しており、たった1行のコードを実行するだけでWorkdayを利用する6500万人全員が革新的な最新機能を利用できるのです。
その一例に「Skills Cloud」があります。機械学習を利用して従業員一人ひとりのスキルを識別することで社内にあるスキルを管理できるもので、企業が将来に向けて対処すべきスキルギャップを考えたり、従業員の定着、エンゲージ、育成などに役立てたりすることができます。競合他社には、すぐに構築できるサービスではありません。